ブラジル、週40時間・5日労働制への移行目指す、憲法改正案審議へ
現在のブラジルでは、憲法上の法定労働時間は週44時間と定められている。通常は1日8時間労働に加え、土曜日に4時間勤務するケースが一般的で、特に小売業やサービス業では長時間労働が広く浸透している。
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ブラジルで法定労働時間を週44時間から40時間へ短縮する動きが本格化している。ルラ政権の与党を中心とする議員グループは週5日・40時間労働制への移行を柱とする憲法改正案の審議入りを目指しており、実現すればブラジルは他の中南米諸国と同様の労働制度へ近づくことになる。長時間労働が常態化してきた同国において、働き方改革の大きな転換点になる可能性がある。
現在のブラジルでは、憲法上の法定労働時間は週44時間と定められている。通常は1日8時間労働に加え、土曜日に4時間勤務するケースが一般的で、特に小売業やサービス業では長時間労働が広く浸透している。今回の改正案では、土曜日勤務を基本的に廃止し、月曜から金曜までの5日勤務制へ移行する構想が示されている。
ルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は以前から労働環境改善に前向きな姿勢を示し、与党・労働者党(PT)も「労働時間短縮は生活の質向上と雇用創出につながる」と説明してきた。支持者の間では、「家族と過ごす時間が増える」「精神的健康の改善につながる」と期待が高まっている。
背景には、近年世界的に広がる労働時間短縮の流れがある。チリでは2024年から段階的に週40時間制を導入、コロンビアでも労働時間削減が進んでいる。欧州ではアイスランドやベルギーなどで週4日勤務制の試験導入も進められており、生産性維持とワークライフバランス改善の両立が模索されている。
一方、ブラジル国内では経済界から慎重論も強い。商工業界は「労働時間短縮は人件費増加につながり、中小企業への打撃が大きい」と警告する。特にブラジル経済は高金利や財政赤字問題を抱えており、企業側は追加雇用や残業規制への対応負担を懸念している。飲食業界や小売業界では、「人手不足がさらに深刻化する」との声も出ている。
労働組合側はこれに反論し、「生産性向上によって十分吸収可能」と主張する。実際、ブラジルでは長時間労働にもかかわらず労働生産性が先進国平均を大きく下回り、専門家の間では「労働時間の長さより働き方そのものが問題」との見方も広がっている。
改正案成立には上下両院で3分の2以上の支持が必要となるため、実現には時間を要する見通しだ。しかし、SNS上では若年層を中心に「週44時間制は時代遅れ」との声が急速に拡散し、世論の後押しが強まっている。ルラ政権にとっても、労働者層への支持を固める重要政策になる可能性がある。
ブラジル社会では、経済成長と生活の質向上をどう両立させるかが大きな課題となっている。週40時間制導入論議は、単なる労働制度改革にとどまらず、国民の働き方や価値観そのものを問い直す議論へ発展しつつある。
