SHARE:

ブラジルコーヒー産業vsエルニーニョ現象、2026年度の生産量どうなる?

ブラジル国家食料供給公社(Conab)は2026年のコーヒー収穫量を6670万袋(60キログラム入り)と過去最高水準になると予測している。
ブラジル産コーヒーのイメージ(Getty Images)

世界最大のコーヒー生産国ブラジルで、エルニーニョ現象による高温と不規則な降雨が2026年産コーヒーの生産に影響を与えている。一方で、生産者の間では灌漑(かんがい)設備の整備や耐候性を高める栽培技術の導入が進み、過去のエルニーニョ発生時に比べると農園の気候変動への適応力は向上しているとの見方も広がっている。世界のコーヒー供給を左右するブラジルの収穫動向は、国際市場の価格形成にも大きな影響を及ぼすため、今後の天候が注目される。

ブラジル国家食料供給公社(Conab)は2026年のコーヒー収穫量を6670万袋(60キログラム入り)と過去最高水準になると予測している。しかしブラジル・インスタントコーヒー産業協会(ABICS)はエルニーニョによる猛暑と降雨不足、あるいは局地的な豪雨が開花や果実の成熟を妨げる恐れがあり、生産量は15~20%減少する可能性があると警告している。特に開花期の水不足や成熟期の異常高温は収量だけでなく豆の品質低下にもつながるため、生産者は天候の推移を注視している。

影響は品種によって異なる。高品質豆として知られるアラビカ種は主産地で灌漑設備の普及が十分ではなく、天候変化の影響を受けやすい。一方、インスタントコーヒーなどに多く使われるカネフォラ(ロブスタ)種も、気温が35度を超えると生育が停滞するため安心はできない。南東部では収穫期の降雨によって作業が遅れ、豆の品質低下も報告されているほか、主要産地エスピリトサント州では高温と不規則な降雨が生産に影響を与えると懸念されている。

一方で、すべての産地が深刻な影響を受けているわけではない。北部ロンドニア州ではロブスタ種の農園の多くが灌漑設備を備え、水管理や冷却技術の導入も進んでいることから、約300万袋と過去最高の収穫が見込まれている。こうした地域ではエルニーニョの影響は比較的小さく、生産者は安定した供給を維持できるとの期待を示している。

ブラジルでは2021年の霜害やその後の干ばつを契機に、灌漑設備への投資や耐暑性品種の導入、精密農業技術の活用が急速に進んだ。その結果、生産現場では気候変動への耐性が着実に高まっている。しかし、エルニーニョのような極端な気象現象が頻発すれば、生産量や品質への影響を完全に防ぐことは難しい。

世界のコーヒー供給の約4割を担うブラジルの収穫動向は生産国だけでなく世界のコーヒー価格や消費者の負担にも直結するだけに、気候変動への適応策と長期的な生産安定化が今後の重要課題となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします