◎統計局が14日に公表した年間インフレ率は280%台を維持している。
アルゼンチン、首都ブエノスアイレスの市場(Getty Images)

アルゼンチンの先月の消費者物価指数(CPI)が一桁台に突入した。

政府統計局によると、先月のインフレ率は前年同月比で8.8%増。3月の11%からさらに低下したという。

大統領府の報道官はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「インフレは粉砕されつつある。まもなくインフレの死亡診断書が提出されるだろう」と書き込んだ。

アルゼンチンの年間インフレ率(23.4~24.3)は22年比で287%増となり、世界で最も高い水準にある。

しかし、昨年就任した自由至上主義者のミレイ(Javier Milei)大統領の緊縮財政により、月次インフレ率は大幅に低下。16年ぶりに四半期ベースで財政黒字を達成するなど、多くの経済的成功を収めている。

国際通貨基金(IMF)はミレイ氏の政策を称賛。市場からも喝采を浴びているが、このコスト削減と規制緩和キャンペーンが人口の大多数を占める低中所得者層の首を締め上げていることも忘れてはならない。

統計局が14日に公表した年間インフレ率は280%台を維持している。

ミレイ氏は左派政権が積み上げた債務を一掃し、低迷する経済を立て直すため、公務員の人員整理と賃金削減を推進し、公共事業を凍結し、政府庁舎の数を半減させ、中央銀行を解体し、自国通貨であるアルゼンチン・ペソを米ドルに置き換えると宣言している。

その一方で、緊縮財政は物価を欧米の水準にまで押し上げ、低中所得者層の生活を直撃、経済的苦境に拍車をかけている。

専門家は「インフレ率の低下は成功を示すものではなく、むしろ痛みを伴う不況の兆候である」警告している。IMFはアルゼンチンの今年のGDP成長率をマイナス2.8%と予想している。

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