SHARE:

アルゼンチン政府がメディア規制を解除、批判受け方針転換

メディアは4月23日以降、大統領府への立ち入りを禁じられていた。
2025年5月18日/アルゼンチン、首都ブエノスアイレス、支持者に手を振るミレイ大統領(AP通信)

アルゼンチンのミレイ(Javier Milei)大統領は4日、大統領府への記者立ち入りを認めると発表した。これは約1週間にわたって報道陣の出入りを禁止していた措置に対し、国内外から批判が集まったことを受けた対応である。

メディアは4月23日以降、大統領府への立ち入りを禁じられていた。この措置では、長年使用されてきた記者室も閉鎖され、約60人の認定記者が取材拠点を失った。政府は理由として、テレビ局による無断撮影を「違法な諜報行為」とみなし、安全上の懸念があったと説明していた。

しかし、対象となったテレビ局側は事前に許可を得ていたと主張し、政府の説明に反論した。この問題を契機に、報道機関や人権団体、野党政治家、さらにはカトリック教会や経済団体までが一斉に反発し、措置は報道の自由を侵害するものだとして強く非難された。

こうした圧力を受け、政府は記者の立ち入りを認めると発表した。メディアは再び庁舎内での取材が可能となったが、政府側は今後、セキュリティ強化を理由とする新たな規則を導入する方針を示している。具体的な内容は明らかになっていないものの、従来よりも厳格な管理が行われる見通しである。

今回の一連の措置はミレイ政権と報道機関の対立の深まりを象徴する出来事である。ミレイ氏は就任以降、メディアに対して強硬な姿勢を取り続け、SNS上で記者を批判する発言を繰り返してきた。政府は従来の記者会見よりもSNSや支持者向けのメディアを重視する傾向を強めており、情報発信の在り方にも変化がみられる。

また、国際的な報道の自由の評価においても、アルゼンチンの順位は近年大きく低下し、今回の措置はその流れを加速させるものとして懸念されていた。報道の自由は民主主義の根幹とされるだけに、今回の対応は国内外で大きな議論を呼んだ。

背景には、インフレ対策や経済改革の停滞、政権幹部を巡る不正疑惑など、ミレイ政権が直面する政治的困難もあると指摘されている。こうした状況の中で、政権とメディアの関係は緊張を増し、今回の規制撤回後も対立が収束するかは不透明である。

今回の措置撤回により形式的には従来の取材環境が回復したものの、新たな規則の導入や政府の対メディア姿勢を踏まえると、報道の自由を巡る議論は今後も続くとみられる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします