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パキスタン軍がアフガン東部を空爆、3人死亡、14人負傷

アフガン国防省の発表によると、攻撃はクナル州アサダバード周辺で確認され、パキスタン側から発射されたミサイルや砲撃が複数の住宅地を直撃した。
イスラム過激派組織「パキスタンのタリバン運動(TTP)」の戦闘員(Getty-Images)

アフガニスタンのタリバン暫定政権は4日、パキスタン軍が国境を越えて東部クナル州の民間地域を攻撃し、少なくとも3人が死亡、14人が負傷したと明らかにした。今回の攻撃では学校やモスク、医療施設なども被害を受けたとされ、両国間の緊張が再び高まっている。

アフガン国防省の発表によると、攻撃はクナル州アサダバード周辺で確認され、パキスタン側から発射されたミサイルや砲撃が複数の住宅地を直撃した。犠牲となった3人はいずれも民間人で、負傷者の中には女性や子どもも含まれているという。また、現地では2校の学校、2カ所のモスク、保健センター1カ所が損壊し、地域住民の生活に深刻な影響が及んでいるという。

外務省の報道官は声明で、今回の攻撃を「主権侵害」「国際法に反する行為」と強く非難し、パキスタン政府に説明を求めた。外務省は駐パキスタン大使を呼び出し、正式に抗議したことも明らかにしている。

一方、パキスタン政府はこの件に関する声明を出していない。ただし、これまで同様の事案では、越境攻撃の標的は国内で活動する武装勢力の拠点であり、民間施設を狙ったものではないと主張してきた。パキスタンは過激派組織TTP(パキスタンのタリバン運動)がアフガン領内を拠点に活動し、パキスタン国内でテロ攻撃を繰り返していると非難している。これに対し、アフガン側はそうした主張を一貫して否定してきた。

両国の関係は今年2月以降、急速に悪化。パキスタンがアフガン東部に対して大規模な空爆を実施したことをきっかけに、アフガン側も報復攻撃を行い、双方で多数の死傷者が出た。国連など国際社会の仲介もあり、一時的に緊張は緩和されたものの、散発的な衝突が続いていた。4月には中国・ウルムチで両国高官による協議が行われ、事態の沈静化が図られたが、今回の攻撃によってその努力は再び揺らいでいる。

国境地帯では軍事衝突の長期化によって、市民の避難やインフラ破壊が深刻化している。学校の閉鎖や医療体制の混乱も報告され、人道状況の悪化が懸念される。専門家は両国が相互不信を解消できないまま軍事的対応を繰り返せば、地域全体の不安定化につながる恐れがあると警告している。

今回の越境攻撃をめぐり、国際社会は双方に自制を求めている。アフガンとパキスタンはいずれも安全保障上の課題を抱えるが、対話による解決が進まなければ、さらなる軍事衝突に発展する可能性も否定できない。

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