アルゼンチン産トウモロコシ輸出が過去最高へ、ウクライナ戦争と欧州猛暑で貿易構造が変化
背景にあるのがウクライナ産穀物の輸出環境悪化だ。
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アルゼンチンのトウモロコシ輸出が過去最高水準に達する見通しとなっている。2026年8、9月の輸出量は計1000万トンに達すると予想され、豊作による国内供給の拡大に加え、ロシアによるウクライナの黒海港湾への攻撃や欧州の記録的な猛暑が世界の穀物貿易を変化させ、アルゼンチン産への需要を押し上げている。
背景にあるのがウクライナ産穀物の輸出環境悪化だ。ウクライナはロシア軍による攻撃で黒海沿岸の港からの輸出が制約され、代替ルートとしてドナウ川経由の輸送に頼っている。しかし、ドナウ川では水位低下が輸送上の制約となり、従来の輸出量を確保することが難しくなっている。
一方、欧州では猛暑と干ばつによってトウモロコシなどの作柄が悪化した。特にフランスでは2026年のトウモロコシ生産量が前年比で35%減少する可能性が示されており、欧州域内で不足する飼料用穀物を海外から調達する必要性が高まっている。こうした供給不足がアルゼンチン産への需要を強める要因となっている。
需要の拡大は北アフリカでも目立つ。モロッコ、エジプト、アルジェリアなどがアルゼンチンからの輸入を増やし、とりわけモロッコの輸入量は前年同期比133%増となった。黒海地域からの供給が不安定になるなか、安定して調達できるアルゼンチンの存在感が高まっている。
さらにブラジルの輸出余力が低下していることも追い風となっている。ブラジルではエタノール生産など国内需要の拡大によってトウモロコシ消費が増加し、2025/26年度の国内消費量は前年比7.1%増の9800万トンに達した。ブラジル産の輸出余力が縮小すれば、国際市場でアルゼンチンがシェアを拡大する余地はさらに大きくなる。
今回の動きは、農産物市場が単純な豊作・不作だけでなく、戦争、物流、気候変動、エネルギー政策といった複数の要因に左右されることを示している。アルゼンチンにとって輸出拡大は外貨獲得と農業収益の改善につながる一方、世界の穀物市場では供給網の分散化が進み、ウクライナや欧州の状況次第で貿易の流れがさらに変化する可能性がある。
