「勝者と敗者」FIFAワールドカップが米国経済に与える影響
最大の恩恵を受けるとみられるのは観光、ホテル、飲食、航空業界だ。
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2026年FIFAワールドカップは米国、カナダ、メキシコの3カ国共催で開催される。史上初となる48チーム制が採用され、104試合が行われる予定だ。FIFAは大会によって数百億ドル規模の経済効果が生まれると予測しているが、専門家の間では「勝者と敗者が分かれる大会になる」との見方も広がっている。
最大の恩恵を受けるとみられるのは観光、ホテル、飲食、航空業界だ。開催都市には世界中から数百万人規模のサポーターが訪れる見込みで、宿泊や外食、移動に伴う消費が地域経済を押し上げる。FIFA関連の試算では、大会は世界全体で400億ドル超のGDP押し上げ効果をもたらす可能性があるという。
また、スポーツイベントを活用した都市ブランドの向上も期待されている。開催都市は国際的な知名度を高める機会を得るほか、将来的な観光客誘致や企業投資の呼び水となる可能性がある。米国では11都市が試合会場となり、地域ごとの経済波及効果に大きな期待が寄せられている。
一方で、全ての関係者が利益を得るわけではない。スポーツ経済学者らは、ワールドカップによる経済効果がしばしば過大評価されると指摘する。大会期間中に訪れる観光客が増えても、通常の旅行者が混雑や高価格を避けて来訪を控える「代替効果」が発生するためだ。結果として、地域全体の消費増加は想定ほど大きくならない可能性がある。
さらに、ホテル料金や航空券価格の高騰も課題となっている。需要増を見込んだ値上げが進む一方、一部都市では外国人観光客の予約が伸び悩んでいるとの報告もある。ビザ(査証)取得の遅れや渡航コストの上昇が訪米需要を抑制しているためだ。期待された宿泊需要が実現しなければ、ホテル業界の収益にも影響が及ぶ可能性がある。
また、治安対策や交通整備などの費用は自治体側の負担となるケースが多い。FIFAは大会を通じて過去最高水準の収益を見込んでいるが、開催都市には警備やインフラ整備のコストが残るとの指摘もある。
世界最大級のスポーツイベントであるワールドカップは、米国経済に新たな消費と雇用をもたらす可能性を秘めている。しかし、その利益は業界や地域によって大きく異なり、誰もが恩恵を受けるわけではない。2026大会は巨額の経済効果への期待と現実とのギャップを検証する場にもなりそうだ。
