◎西側の支援に大きく依存しているウクライナはここ数週間、ロシア軍の前進を抑えるために、東部と南部の1000キロ以上にわたる前線で奮闘している。
2023年1月11日/ウクライナ、東部ドネツク州バフムート近郊、迫撃砲を発射するウクライナ兵(Evgeniy Maloletka/AP通信)

米連邦議会下院は20日、ウクライナへの軍事支援を含む緊急予算案を賛成多数で可決した。

上院は数カ月前に法案を可決したものの、下院を支配する共和党はその内容に不満を表明し、採決を延期。今週、個別の法案を再提出すると表明していた。

下院はウクライナ支援法案を賛成311ー反対112で法案を可決。上院に送られ、数日中に採決される予定だ。バイデン(Joe Biden)大統領の署名で成立する。

全体の予算規模は約950億ドル。イスラエルへの支援は260億ドルとなっている。

共和党の保守強硬派は最後まで法案に反対。メキシコ国境の警備強化に重点を置くよう求めていた。

現地メディアによると、議場は歓声と拍手に包まれ、ウクライナの国旗を振る議員もいた。

共和党のジョンソン(Mike Johnson)下院議長は声明で、「自らの立場を危うくしてでも、この法案を通過させたい」と述べた。

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は20日、「歴史を正しい方向に導く決断をしてくれた合衆国下院、両党、そしてジョンソン下院議長個人に感謝している」と声明を出した。

ゼレンスキー氏は次のように述べている。「民主主義と自由は常に世界的な意義を持ち、米国がそれを守る手助けをする限り、失敗することはありません」「今日、下院で可決された重要な法案は戦争の拡大を防ぎ、何千何万もの命を救い、両国がより強くなる助けとなるでしょう」

法案は上院に送られ、数日中に可決される見込みである。

バイデン氏は20日、上院に採決を急ぐよう促した。

一方、ロシア外務省のザハロワ(Maria Zakharova)報道官は米国の軍事支援を改めて非難。「テロ活動への直接的な支援である」と主張した。

西側の支援に大きく依存しているウクライナはここ数週間、ロシア軍の前進を抑えるために、東部と南部の1000キロ以上にわたる前線で奮闘している。

米シンクタンク戦争研究所はウクライナ軍の弾薬不足が深刻化していると指摘。さらに防空に欠かせない迎撃ミサイルの残弾数も厳しくなっており、前線の兵士が切実に必要とする弾や防空支援を送れずにいるという。

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