米国2025年薬物過剰摂取死、約7万人、3年連続減、懸念も
米国の薬物危機は1990年代の処方鎮痛剤乱用から始まり、ヘロイン、フェンタニルへと拡大してきた。
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米疾病対策センター(CDC)が13日に公表した暫定統計によると、2025年の米国における薬物過剰摂取による死亡者数は約7万人となり、前年から約14%減少した。減少は3年連続で、コロナ禍前の2019年水準に近づいた。過剰摂取死は2022年の約11万人でピークに達したが、その後は減少傾向が続いている。特に合成オピオイドのフェンタニル関連死の減少が大きく、コカインやメタンフェタミンによる死亡も減った。全米の大半の州で改善が見られた一方、アリゾナ州やニューメキシコ州など一部地域では増加が確認され、地域差も浮き彫りとなっている。
専門家は、今回の改善には複数の要因が重なっていると分析する。過剰摂取時に使用する解毒薬ナロキソンの普及、依存症治療へのアクセス改善、遠隔医療の拡大、自治体による支援強化などが背景にある。また、中国政府がフェンタニル製造に使われる前駆体化学物質への規制を強化したことで、供給網に変化が起きた可能性も指摘されている。研究者の間では、違法薬物市場で流通するフェンタニルの純度低下が死亡減少に影響したとの見方も広がる。
しかし、専門家たちは「危機が終わったわけではない」と警鐘を鳴らしている。近年はカルフェンタニルやサイクロルフィンといった新たな強力薬物が流通し始めており、これらは少量でも致死性が高い。カルフェンタニルはフェンタニルの100倍ともいわれ、麻薬取締局(DEA)による押収件数も急増している。
さらに、トランプ政権が薬物検査試験紙への連邦支援を縮小したことも懸念材料となっている。フェンタニル検査紙は薬物利用者が混入物を確認し、過剰摂取を避けるための手段として普及してきたが、政府は「薬物使用を助長する」として補助を打ち切った。支援団体や公衆衛生の専門家は、こうしたハームリダクション政策の後退が再び死亡増加を招く恐れがあると批判する。
米国の薬物危機は1990年代の処方鎮痛剤乱用から始まり、ヘロイン、フェンタニルへと拡大してきた。今回の統計は長期的な改善の兆候を示す一方、薬物流通の変化や政策転換次第では再び悪化する可能性もあり、専門家は継続的な対策の必要性を強調している。
