英クルーズ船で感染性胃腸炎の集団感染、仏ボルドーで足止め
運航会社アンバサダー・クルーズラインによると、乗客1233人と乗員514人のうち、少なくとも48人の乗客と1人の乗員に嘔吐や下痢などの症状が確認された。
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フランス南西部ボルドーに寄港したイギリスのクルーズ船「アンビション号」で感染性胃腸炎の集団発症が確認され、フランス当局は乗客乗員1700人以上に対し、船内待機を命じた。地元当局は13日、感染拡大防止のため下船を禁止し、港湾との接触も制限していると発表した。船は英ベルファストとリバプールを出港した14日間のクルーズの途中で、スペイン北部やフランス西岸への寄港を予定していた。
運航会社アンバサダー・クルーズラインによると、乗客1233人と乗員514人のうち、少なくとも48人の乗客と1人の乗員に嘔吐や下痢などの症状が確認された。患者は船内の医師による治療を受け、客室内で隔離されている。フランスの医療チームも船内に入り、原因特定のため検体採取と検査を進めている。現時点で原因は断定されていないが、感染性胃腸炎の一種であるノロウイルスや食中毒の可能性が調べられている。
今回の騒動では、92歳の英国人男性乗客が死亡したことも注目を集めている。ただ、運航会社や当局は、死亡と集団感染との関連は確認されていないとしている。男性は症状を訴えておらず、検視が行われている。フランス当局は別のクルーズ船「MVホンディウス号」で発生した「ハンタウイルス」感染とは無関係であることを強調した。ホンディウスでは4月以降、複数国にまたがる感染事例が確認され、3人が死亡しているため、欧州ではクルーズ船の感染対策への警戒感が高まっていた。
クルーズ船では閉鎖空間で多数の人が長時間生活を共にするため、感染症が広がりやすい。特にノロウイルスは感染力が強く、食品や接触を通じて急速に拡大することで知られる。米疾病対策センター(CDC)によると、2024年にはクルーズ船で16件以上の胃腸炎集団感染が報告され、過去10年で最多水準となった。最近では新たなノロウイルス株の流行も指摘されている。
アンバサダー・クルーズラインは2021年設立の英国企業、主に50歳以上の旅行者を対象に欧州クルーズを展開している。今回の航海では、乗客の多くが英国人とアイルランド人だった。会社はボルドーで予定していた観光ツアーを中止し、影響を受けた乗客に返金対応を行うとしている。また、船内の消毒作業や衛生管理を強化していると説明した。
ボルドー港では厳重な封鎖措置こそ取られていないものの、乗客は下船できず、甲板から市街地を眺める状況が続いている。検査結果が判明するまで制限措置は継続される見通しで、今後の航路にも影響が及ぶ可能性がある。欧州では近年、観光需要の回復とともにクルーズ旅行が再び活況を呈しているが、大規模感染リスクへの懸念も改めて浮き彫りとなった。
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