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米CIA秘密部隊がメキシコ麻薬カルテル幹部の暗殺に関与?メキシコ大統領が報道を否定

CNNはCIAの秘密部隊「グラウンド・ブランチ」が過去1年間にメキシコ国内で複数の対カルテル作戦に参加し、首都メキシコシティ近郊の高速道路でシナロア・カルテル関係者の殺害を支援したと報じた。
メキシコのシェインバウム大統領(左)とトランプ次期米大統領(Getty Images)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は13日、米中央情報局(CIA)がメキシコ国内で麻薬カルテル幹部の暗殺作戦を実行したとする米CNNの報道を否定した。シェインバウム氏は定例会見で、「これは完全なうそだ」と述べ、「メキシコ政府と国民を傷つけようとしている」と批判した。問題の報道は、CIAの特殊部隊がシナロア・カルテル関係者を標的とする作戦に関与したと伝えたもので、メキシコ国内で大きな波紋を広げている。

CNNはCIAの秘密部隊「グラウンド・ブランチ」が過去1年間にメキシコ国内で複数の対カルテル作戦に参加し、首都メキシコシティ近郊の高速道路でシナロア・カルテル関係者の殺害を支援したと報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は、実際に攻撃を実行したのはメキシコ治安部隊であり、CIAは計画立案や情報提供を行ったと伝えている。しかしシェインバウム氏は、この報道についても「宇宙規模のフィクションだ」と一蹴した。

CIA側も報道を全面否定している。CIA報道官はX(旧ツイッター)への投稿で、「虚偽かつ扇動的な報道であり、カルテルの利益になるだけだ」と反論した。メキシコのハルフッシュ(Omar Garcia Harfuch)治安・市民保護相も、「外国機関による秘密作戦や致死的行動は認めていない」と述べ、主権侵害を否定した。

今回の騒動の背景には、トランプ政権下で高まる対メキシコ強硬路線がある。、トランプ(Donald Trump)大統領は以前から、メキシコ政府が麻薬カルテル対策に十分取り組まなければ「米国単独で行動する可能性がある」と警告してきた。米国では合成麻薬フェンタニルへの危機感が強く、カルテルを「外国テロ組織」に指定するなど、対策強化が進んでいる。一方、メキシコ側は国家主権への介入に極めて敏感で、米軍やCIAの直接行動には強く反発している。

両国関係は近年、麻薬対策協力をめぐって緊張が続いている。4月には北部チワワ州で対麻薬作戦に関与していたとされる米当局者2人が交通事故で死亡し、シェインバウム政権が「事前に十分な説明を受けていなかった」と反発した。この問題ではCIA職員の関与についてメキシコ政府内でも説明が食い違い、外交問題に発展していた。

さらに今年2月には、メキシコ軍による大規模作戦で麻薬組織ハリスコ新世代カルテル(CJNG)の最高幹部が殺害され、米国が情報支援を行っていたことも明らかになった。ただし、このケースでも実際の軍事作戦はメキシコ側が担ったとされる。メキシコ政府は情報共有には応じる一方、外国部隊による越境作戦は認めない立場を維持している。

シェインバウム政権は前任のオブラドール政権に比べると対米協調姿勢を見せているが、主権問題では強硬姿勢を崩していない。今回のCIA報道をめぐる対立は麻薬戦争を巡る米墨協力の複雑さと、両国間の不信感を改めて浮き彫りにした。

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