フィリピン議会上院で発砲、当局が議員の逮捕試みる中
上院施設内で突然発砲音が聞こえ、議員や職員、報道陣らが避難を余儀なくされた。
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フィリピン上院で13日夜、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているデラローサ(Ronald dela Rosa)上院議員の拘束を当局が試みる中、銃声が響き渡り、議会内が一時騒然となった。AP通信によると、上院施設内で突然発砲音が聞こえ、議員や職員、報道陣らが避難を余儀なくされた。負傷者の有無や発砲した人物は特定されておらず、当局が防犯カメラ映像などをもとに捜査を進めている。
デラローサ氏はドゥテルテ前政権下で進められた「麻薬戦争」を主導した元国家警察長官で、ICCから「人道に対する罪」で逮捕状を出されている。ICCは2016年から2018年にかけて、少なくとも32人の殺害に関与した疑いがあるとしている。フィリピンの人権団体は実際の犠牲者数は数千人規模に上ると主張しており、超法規的殺害が組織的に行われたと批判してきた。
デラローサ氏は今週初め、捜査官が議会上院内で拘束を試みた際に逃走し、その後、カエタノ(Alan Peter Cayetano)上院議長ら与党系議員の保護下に入っていた。上院は「立法府の独立を守る必要がある」として、議会施設内での強制的な逮捕執行に反発している。デラローサ氏自身も「外国の裁判所には従わない」と主張し、最高裁に逮捕差し止めを求める緊急申し立てを行った。
今回の発砲事件を受け、マルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)大統領は13日、「暴力は容認できない」と述べ、冷静な対応を呼びかけた。一方、カエタノ氏は13日、「上院への攻撃とも受け取れる異常事態だ」と非難し、治安当局に徹底調査を求めた。現地メディアによると、建物周辺には警察特殊部隊や軍関係者も集結し、厳戒態勢が敷かれた。
ICCはフィリピンが加盟していた期間中に行われた犯罪については、2019年の脱退後も管轄権を持つとの立場を維持している。ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)前大統領もICCに拘束され、オランダ・ハーグで裁判を待つ状況にある。マルコス政権はICCへの正式復帰には否定的だが、国際刑事警察機構(ICPO)を通じた要請には協力する姿勢を示してきた。
フィリピンでは現在、サラ・ドゥテルテ(Sara Duterte)副大統領の弾劾決議案をめぐっても政局が緊迫しており、ドゥテルテ派とマルコス派の対立が激化している。今回の銃声騒ぎは麻薬戦争の責任追及だけでなく、国内政治の分断が暴力的緊張へ発展しかねない現状を浮き彫りにした。
