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ペルー大統領選の左派候補に捜査のメス、金融犯罪の疑いで告発

問題となっているのは、サンチェス氏が所属する左派連合「フントス・ポル・エル・ペルー(Juntos por el Perú)」が2020年と2021年に提出した政治資金報告書である。
ペルー大統領選に立候補した左派のロベルト・サンチェス氏(ロイター通信)

ペルー大統領選で決選投票進出を確実にした左派のロベルト・サンチェス(Roberto Helbert Sánchez Palomino)氏に対し、検察が政治資金をめぐる金融犯罪の疑いで起訴を求めたことが明らかになり、政界に波紋が広がっている。地元メディアによると、検察はサンチェス氏に対し、虚偽申告や資金報告書改ざんの罪で5年4カ月の禁錮刑を求刑するとともに、公職追放を請求した。司法当局は5月27日に公判入りの可否を判断する見通しで、選挙戦への影響が注目されている。

問題となっているのは、サンチェス氏が所属する左派連合「フントス・ポル・エル・ペルー(Juntos por el Perú)」が2020年と2021年に提出した政治資金報告書である。検察は献金額や支出内容に虚偽記載があり、一部情報が意図的に改ざんされた疑いがあると主張している。これに対し、サンチェス氏側は「会計処理は党財務担当者の責任であり、本人は関与していない」と反論している。弁護団は13日、「選挙への介入を狙った政治的な訴追だ」として、検察の動きを批判した。

サンチェス氏は4月12日の第1回投票で約12%を獲得し、保守派候補ケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏に次ぐ2位で決選投票進出を決めた。得票差は僅差だったが、最終的に強硬右派のアリアガ(Rafael López Aliaga)氏を振り切った。アリアガ氏は不正選挙を主張し、「票が盗まれた」と繰り返し訴えているが、欧州連合(EU)の選挙監視団は不正の証拠は確認されなかったと報告している。

今回の大統領選は深刻な政治不安の中で行われている。ペルーでは近年、大統領の罷免・辞任・逮捕が相次ぎ、この10年足らずで大統領が8回交代した。2022年のカスティジョ(Pedro Castillo)元大統領逮捕後も混乱は続き、その後継政権も汚職疑惑や治安悪化への批判に直面した。議会と司法をめぐる権力闘争も激化しており、人権団体は「民主主義の後退」が進んでいると警告している。

今回の選挙では犯罪対策と経済不安が最大の争点となっている。ペルーでは殺人事件が急増し、学校や交通業界まで犯罪組織の標的となっている。サンチェス氏は社会格差是正や天然資源契約の見直しを訴え、鉱業企業への課税強化にも前向きな姿勢を示している。このため金融市場では警戒感が広がり、通貨ソルが下落する場面もあった。

一方、対立候補のフジモリ氏も強い拒否感を抱かれている。父親の故アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領は人権侵害や汚職で有罪判決を受け、その政治的遺産は今なお賛否が分かれる。世論調査では両候補とも高い不支持率を抱えており、有権者の間では「消去法の選択」との見方も広がっている。

サンチェス氏への訴追が正式に進めば、決選投票の構図が大きく揺らぐ可能性もある。政治的混乱が続くペルーでは、司法判断そのものへの不信感も根強く、今回の問題がさらなる社会対立を招く恐れも指摘されている。

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