南アフリカで反移民暴動激化、ガーナ国民300人緊急退避へ
南アフリカではこの数週間、不法移民への反発を掲げる抗議デモが各地で拡大している。
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南アフリカで移民を標的とする排外主義的な暴力が激化し、ガーナ政府が同国に滞在する自国民約300人を緊急退避させる方針を明らかにした。ガーナのガーナ外務省は13日、X(旧ツイッター)への投稿で「大統領の承認を得て、在プレトリア・ガーナ高等弁務官事務所に支援を求めていた300人を帰国させる」と発表した。対象者の多くは、現地で暴行や脅迫を受けたとして救援を求めていたという。
南アフリカではこの数週間、不法移民への反発を掲げる抗議デモが各地で拡大している。特に最大都市ヨハネスブルグやプレトリアでは、サハラ以南アフリカ諸国から来た移民に対する嫌がらせや襲撃が相次ぎ、商店の略奪や放火も報告されている。現地では高失業率や治安悪化への不満が強く、外国人労働者が雇用を奪っているとの主張が支持を広げている。南アフリカの失業率は30%を超え、特に若年層の失業が深刻化している。
今回の混乱では、「オペレーション・ドゥドゥラ」と呼ばれる自警団的な反移民団体の活動が注目されている。同団体は外国人の商店や住宅を標的にし、不法滞在者の排除を訴えている。SNS上では移民を犯罪や薬物問題と結び付ける投稿が拡散され、外国人への敵意が急速に高まった。ガーナ政府は今月初めにも、自国民に対し「外出を控え、安全を最優先に行動するように」と警告を出していた。
南アフリカにおける排外主義的暴力は今回が初めてではない。2008年には外国人を狙った大規模暴動で60人以上が死亡し、数万人が避難を余儀なくされた。2015年にも移民排斥運動が激化し、外国人商店主への襲撃が全国に広がった。ジンバブエやモザンビーク、ナイジェリアなど周辺諸国はその都度、自国民の避難や帰国支援を実施してきた。南アフリカ政府は暴力を非難しているが、根本的な解決には至っていない。
専門家は経済停滞と社会的不満が外国人排斥へ向かう構図を指摘する。南アフリカはアフリカ大陸最大級の経済規模を持つ一方、貧困や格差が深刻で、移民問題が政治争点化している。外国人住民は全人口の約7%で、多くが周辺国からの出稼ぎ労働者である。だが、移民が犯罪増加の主要因であるとの主張には十分な根拠がないとの研究も多い。
今回のガーナ政府の退避措置は、アフリカ諸国の間で南アフリカへの不信感が高まっていることを示している。ケニア、マラウイ、ジンバブエなども自国民に警戒を呼びかけ、アフリカ連合(AU)に対応を求める声も上がる。南アフリカ政府は「外国人を狙った組織的暴力は容認しない」と強調するが、経済停滞が続く限り、排外主義の再燃を防ぐのは容易ではないとの見方が広がっている。
