SHARE:

米国26年4月求人件数760万件、2年ぶりの高水準、市場予想上回る

今回の統計では求人件数の増加が目立った一方で、実際の採用数は約511万件と前月から減少した。
米国の求人センター(Getty Images)

労働省が2日に発表した求人労働異動調査(JOLTS)によると、2026年4月の求人件数は760万件となり、前月の690万件から大幅に増加した。市場予想の約680万件も上回り、2024年5月以来およそ2年ぶりの高水準を記録した。イラン戦争による原油価格高騰や景気減速への懸念が広がるなかでも、米国の労働市場が予想以上の底堅さを示した形だ。

今回の統計では求人件数の増加が目立った一方で、実際の採用数は約511万件と前月から減少した。企業は人材需要を維持しているものの、先行きの不透明感から採用には慎重な姿勢を取っているとみられる。経済学者の間では「求人は増えているが、企業が積極的に雇用を拡大しているわけではない」との見方も出ている。

また、解雇件数は減少し、レイオフ率も低い水準を維持した。雇用主が人員削減を急いでいないことを示しており、労働市場全体としては安定した状況が続いている。一方で、自発的に離職する退職者数も減少した。より良い職を求めて転職する動きがやや鈍化していることから、労働者側も経済環境の不確実性を意識している可能性がある。

米国経済は2025年に雇用増加が大きく鈍化したが、2026年に入ってからは徐々に持ち直しの兆しを見せている。4月の雇用統計でも非農業部門雇用者数は11万5000人増加し、市場予想を上回った。失業率も4.3%で安定し、労働市場が急速に悪化する兆候は現時点では確認されていない。

もっとも、今後の見通しは楽観できない。イラン戦争の影響でエネルギー価格が高止まりし、企業収益や個人消費を圧迫するリスクがある。加えて、高金利環境や貿易政策を巡る不確実性も残る。求人件数の増加が持続的な雇用拡大につながるのか、それとも一時的な回復にとどまるのかが今後の焦点となる。

市場関係者は今週発表される5月の雇用統計に注目している。雇用の伸びが維持されれば、連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを急がない可能性が高まる。一方で、雇用指標が再び弱含めば、景気下支えに向けた金融政策への期待が強まることになりそうだ。今回のJOLTS統計は戦争による経済的逆風のなかでも米国の雇用市場が依然として高い耐久力を持つことを示したが、その持続性にはなお注意が必要である。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします