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米国で約20万人のエルサルバドル移民が岐路に、TPS期限切れ、強制送還へ

TPSは自然災害や武力紛争などによって帰国が難しい国の出身者について、米国内での滞在と就労を一定期間認める制度で、1990年に導入された。
2026年3月7日/米フロリダ州ドーラル、トランプ大統領(右)とエルサルバドルのブケレ統領(AP通信)

米国で暮らす約20万人のエルサルバドル移民を対象とした「一時保護資格(TPS)」が9日、期限を迎え、今後の扱いが焦点となっている。TPSは自然災害や武力紛争などによって帰国が難しい国の出身者について、米国内での滞在と就労を一定期間認める制度で、1990年に導入された。エルサルバドルについては、2001年に発生した大地震を受けて適用され、以降、更新が繰り返されてきた。

バイデン前政権はTPSを2026年9月9日まで延長していた。期限を迎えても、国土安全保障省(DHS)が終了を決定しなければ、制度上は6カ月間自動延長される可能性がある。DHSは9日、「適切な時期に決定を発表する」と表明し、当面は保護が維持されるとの立場を示している。

一方、トランプ政権はこれまでベネズエラやハイチなど複数国のTPS終了を進めてきた。エルサルバドルについても、同国の治安情勢が大幅に改善したことを終了の根拠とする可能性がある。ブケレ(Nayib Bukele)大統領が2022年以降、大規模なギャング対策を進め、殺人などの犯罪が大きく減少したことから、米政府側には「帰国が以前ほど危険ではない」とする判断材料がある。

しかし、TPS保有者の多くは米国で20年以上暮らし、米国生まれの子どもを持つ。資格を失えば、生活基盤だけでなく、家族が離ればなれになる可能性もある。エルサルバドル側にとっても、米国在住者からの送金は国内総生産(GDP)の約24%を占めているため、大量帰国となれば経済への影響は無視できない。

今回の問題は、単なる移民政策の変更にとどまらない。米国で長期間暮らしてきた人々を「一時的な保護」の対象として扱い続ける制度そのものの限界と、治安改善を理由に保護を終了させる場合の社会的コストが問われている。TPSの終了が決まれば、対象者は別の在留資格を確保できるかどうかという厳しい選択を迫られることになる。

今後は「エルサルバドルの治安が改善した」という事実だけでなく、20年以上米国社会に定着した移民をどう扱うのか、そして米国人の家族や地域経済にどのような影響が及ぶのかが争点となる。

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