将来への絶望が政治不安に、米大学生を覆う雇用・住宅・AIへの懸念
雇用、住宅、AI、戦争、政治的分断が重なる中、若者の将来不安は経済問題にとどまらず、米国政治そのものを揺さぶる要因になっている。

米国の大学生の間で、卒業後の生活や将来への不安が強まり、それが政治への不信や既存の政治勢力への反発につながっている。ミシガン州立大学では就職、住宅購入、家族形成といった「大人になるための道筋」が見えにくくなったと感じる学生が少なくない。
経済学を専攻する21歳のフランキー・レランディ(Frankie Llerandi)さんは、大学3年間でインターンシップを一度も得られていない。卒業後はデータ分析分野を目指すものの、30代になっても住宅を購入したり家庭を築いたりできない親族を見て、自分の将来にも不安を感じているという。
雇用環境だけが問題ではない。住宅価格や食料、医療など生活必需品の費用が高止まりし、若者が親元を離れ、結婚や家庭を築く時期も遅れている。22~27歳の失業率は7.2%で、全体の4.1%を上回る。最近の大学卒業者の失業率も5.6%と、金融危機以外の時期と比べて高い水準にある。
さらに、人工知能(AI)が雇用を奪ったり、職種そのものを変えたりする可能性も不安を増幅させている。オンライン中心となった就職活動では、AIを利用した求人や詐欺的な偽求人も増え、学生が本物の求人かどうか判断できないケースもある。
こうした経済的不安は政治への不満とも結びついている。若者の景気への楽観的な見方は2024年以降、大きく低下している。政治家が生活を改善できない、あるいは若者の問題に関心を持っていないとの認識が広がり、既存政治から距離を置く動きが強まっている。
一方で、政治的立場が異なる学生の間にも「何かを大きく変えてほしい」という共通した感情がある。保守派の学生も、政権交代のたびに政策が覆され、何も変わらないことへの不満を示す。リベラル派の学生は、既存政治を打破すると訴える反体制的な候補者に支持を寄せている。
米国の若者をめぐっては、将来的には過去の世代より豊かになる可能性を指摘する研究もある。しかし、現在の若者にとって重要なのは将来の統計上の豊かさではなく、「どの道を進めば安定した生活に到達できるのか」が見えないことだ。
雇用、住宅、AI、戦争、政治的分断が重なる中、若者の将来不安は経済問題にとどまらず、米国政治そのものを揺さぶる要因になっている。
