スペイン、11月29日に前倒し総選挙へ、住宅危機を追い風にサンチェス首相が表明
2027年に予定されていた選挙を約8カ月早めるもので、深刻化する住宅危機をめぐる国民の不満を追い風に、与党・社会労働党に有利な構図を作る狙いがある。
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スペインのサンチェス(Pedro Sánchez)首相は月5日、総選挙を11月29日に前倒しして実施すると発表した。2027年に予定されていた選挙を約8カ月早めるもので、深刻化する住宅危機をめぐる国民の不満を追い風に、与党・社会労働党に有利な構図を作る狙いがある。
スペインでは近年、住宅価格や家賃の高騰が社会問題となっている。9月には首都マドリードで87歳の女性マリカルメン・アバスカル(Mari Carmen Abascal)さんが長年暮らしていた住宅から退去させられたことが大きな反響を呼び、住宅問題への対応を求める抗議デモが広がった。若者や低所得層を中心に、住宅を確保することが難しくなっていることも政府への圧力となっている。
サンチェス政権は強制退去の抑制や不動産投機への対策などを盛り込んだ緊急法案を打ち出した。しかし、先週の議会採決では右派野党が反対に回り、法案は否決された。この政治的打撃を受け、サンチェス氏は解散総選挙を決断した。
サンチェス氏はテレビ演説で、より大きな進歩派勢力を議会で確保することで、住宅問題を含む国内の課題に取り組めると訴えた。一方、最大野党・国民党(PP)のフェイホー(Alberto Núñez Feijóo)党首は選挙をサンチェス政権への審判と位置づけ、政権交代を目指す姿勢を示した。
サンチェス政権は2023年以降、少数与党で、複数の小政党の協力に依存してきた。そのため議会運営は不安定で、政策を実現する能力が制約されている。さらに与党関係者や首相の妻、兄をめぐる司法問題も政権の足元を揺るがしている。
世論調査では、PPと極右政党ボックス(VOX)が合わせて政権を奪取できる可能性も指摘されている。今回の総選挙は、住宅危機を軸に左派勢力を結集できるか、それとも政権への不満を右派が取り込むかが最大の焦点となる。
サンチェス氏にとっては、住宅問題を追い風にした賭けであると同時に、政権維持を懸けた大勝負となる。
