SHARE:

イエメン政府軍、バブ・エル・マンデブ海峡で攻勢、フーシ派から沿岸部を奪還

攻勢にはサウジアラビアが航空戦力を投入し、政府軍を支援した。
2026年10月5日/イエメン南西部(ロイター通信)

イエメン政府軍は5日、紅海とアデン湾を結ぶ要衝バブ・エル・マンデブ海峡周辺で大規模な攻勢を開始し、親イラン武装組織フーシ派から主要地域を奪還した。ロイター通信によると、政府軍は海峡を見下ろす西部タイズ州の大部分を制圧し、海峡沿岸を南下して港湾都市モカの周辺まで進軍した。

攻勢にはサウジアラビアが航空戦力を投入し、政府軍を支援した。政府軍はタイズの飛行場など、重要拠点を確保したとされる。サウジ主導の連合軍は政府軍の進撃を支えるため、イエメン各地のフーシ派拠点を空爆した。サウジは5日、数百の標的を攻撃したと明らかにした。

バブ・エル・マンデブ海峡は地中海とインド洋を結ぶ国際的な海上輸送ルートで、エネルギー輸送にとっても戦略的な意味を持つ。フーシ派は9月、この地域で勢力を拡大し、海峡を掌握。世界のエネルギー市場に衝撃を与えていた。特にイランによるホルムズ海峡の閉鎖で湾岸地域からのエネルギー輸出が制限される中、バブ・エル・マンデブ海峡まで不安定化すれば、原油・ガス輸送にさらなる影響が出る可能性がある。

一方、フーシ派は政府軍がタイズの大部分を奪還したという主張を否定しており、戦況について双方の情報が食い違っている。

専門家はフーシ派が海峡周辺から撤退しても、内陸部からドローンなどを使って船舶を攻撃できるため、海上輸送への脅威が完全に消えるわけではないと指摘している。

ロイターによると、タイズの南西部では、フーシ派が政府軍への圧力を強めている。フーシ派はタイズとアデンを結ぶ山岳道路の一部に進出し、政府軍の部隊を事実上孤立させているという。ただし、この情報についても政府関係者の間で見解が分かれている。

今回の攻勢は、2022年に成立した停戦合意が崩れ、イエメン内戦が再び激化する中で実施された。戦闘再開によって国連は約18万4000人が避難を余儀なくされたと報告しており、軍事衝突の拡大はすでに深刻な人道危機に直面しているイエメン情勢をさらに悪化させる恐れがある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
あなたへのおすすめ