◎オタワの抗議デモ、通称フリーダム・コンボイは、米国とカナダを行き来するトラック運転手にワクチン接種を義務付ける法律が施行されたことで本格化し、全国に広がった。
2022年2月5日/カナダ、首都オタワで開催された政府のコロナ対策に抗議するデモ(Jason Franson/The Canadian Press/AP通信)

2月6日、カナダの首都オタワは政府のコロナワクチン政策に反対する抗議デモが制御不能状態に陥ったとして非常事態を宣言した。

オタワのジム・ワトソン市長は6日の声明で、「デモ隊の規模は警察を上回っており、完全に制御不能」と述べ、非常事態を宣言した。

米国の元カナダ大使も深刻な懸念を表明し、デモに関与している米国の極右グループに撤退を呼びかけた。

オタワの抗議デモ、通称フリーダム・コンボイは、米国とカナダを行き来するトラック運転手にワクチン接種を義務付ける法律が施行されたことで本格化し、全国に広がった。

このデモは米国のドナルド・トランプ前大統領、テスラのイーロン・マスクCEO、米フォックスニュースなどから支持を得ている。

ワトソン市長は、「オタワは連邦政府の支援を必要としている」と強調した。カナダ放送協会(CBC)によると、オタワは宣言により、調達とサービスの確保に関する特別な権限を与えられ、最前線の労働者の保護に必要な取り組みをより行いやすくなるという。

2月5日と6日の抗議デモに参加した数千人は、先週末からオタワの中心部にとどまっている数百人と合流し、街を練り歩き、クラクションを鳴らした。

オタワの住民は鳴り止まないクラクション、交通妨害、嫌がらせに激怒しており、市内の警察のコールセンターは対応を求める電話に追われ、パンクしたと伝えられている。

CBCによると、オタワ警察の責任者はデモを「包囲網」と呼び、現場の警察官だけで対応することは不可能と懸念を表明したという。

フリーダム・コンボイの主催者および参加者はジャスティン・トルドー首相を「狂気のコロナ指令でカナダを破壊した極左狂人」と呼び、速やかに辞任するよう呼びかけ、要求に応じるまで抗議し続けると宣言している。

ワトソン市長は6日に放送された地元ラジオ局のインタビューの中で、「抗議者たちはクラクションやサイレンを鳴らし、花火を打ち上げ、オタワの路上でパーティーを開催している」と語った。

またワトソン市長は「警察は極右の波に圧倒されている」と述べ、オタワを取り戻す必要があると強調した。「私たちは完全に負けています。戦局をひっくり返さなければなりません...」

ワトソン市長は具体的な解決策を明らかにしなかったが、警察は6日に発表した声明で、「デモ参加者およびデモを支援する人々を逮捕する可能性がある」と警告した。

米国の元カナダ大使であるブルース・ヘイマン氏は6日、「いかなる理由があろうと、米国のグループはカナダで進行中の破壊的な活動に資金を提供してはならない」とツイートした。

フリーダム・コンボイに資金を提供したGo Fund Meキャンペーンはクラウドファンディングで寄付を呼びかけ、数百万ドルを調達した。しかし、キャンペーンは一部の抗議者がキャンペーンの利用規約に違反したとして、フリーダム・コンボイへの資金提供を打ち切り、資金を寄付者に返金すると発表している。

米テキサス州のパクソン州司法長官は5日、「愛国的なテキサス人は、カナダのトラック運転手の大義に寄付した」とツイートした。

テキサス州選出の共和党員テッド・クルーズ上院議員はフォックスニュースのインタビューの中で、「カナダ政府は政策を見直す必要がある」と述べ、フリーダム・コンボイを擁護した。

一方、カナダの最大都市トロントでは警察が市中心部の幹線道路を封鎖し、トラックや自動車の侵入を阻止したうえで数百人規模のデモを鎮圧した。

多くのカナダ人は抗議者の粗暴な振る舞いと分断を煽る一部の極右に憤慨している。2月4日には国立戦争記念館の敷地内で花火大会が始まり、先週末には無名戦士の墓に小便をかけ、ナチスの旗を掲げる者まで現れた。

スポンサーリンク