◎ジョー・バイデン大統領は弾劾裁判が新政権の閣僚公聴会およびコロナ救済法案の審議に影響を与える可能性があると認めたうえで、「弾劾が却下されれば、より悪い影響が出るだろう」と述べた。
◎バイデン大統領は「弾劾裁判」と市民に向けた「団結のメッセージ」とのバランスをとりつつ、コロナウイルス対策、外交問題、予算の速やかな成立を最優先事項に掲げていた。
2021年1月25日 ロイター通信/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領

米主要メディアによると、弾劾裁判についてのコメントを控えていたジョー・バイデン大統領は記者に、「トランプは弾劾されるべきだと思う」と語ったという。

バイデン大統領は弾劾裁判が新政権の閣僚公聴会およびコロナ救済法案の審議に影響を与える可能性があると認めたうえで、「弾劾が却下されれば、より悪い影響が出るだろう」と述べた。

バイデン大統領はCNNニュースの取材に対し、「トランプの任期があと半年残っていれば結果は違ったものになったと思う。そして、上院共和党員17人が有罪に投票するとは思っていない」と述べた。

ジョー・バイデン大統領:
「上院は私がかつてホワイトハウスにいた時に比べると変わったが、共和党は変わっていない」

弾劾決議案を可決するためには3分の2以上の賛成が必要である。現在の上院の勢力は「民主党50ー共和党50」、共和党員17人が離反すれば、「賛成67ー反対33」でトランプ氏の弾劾は可決される。

2021年1月25日 AP通信/ワシントンD.C.議会議事堂、下院民主党員

バイデン大統領の発言後、下院民主党のトランプ弾劾チームは上院に弾劾決議案を提出した。

その後、上院はトランプ氏に対する告発文を読み上げたうえで、審議入りすると宣言した。なお、裁判は2月8日の週から始まる予定。

バイデン大統領は「弾劾裁判」と市民に向けた「団結のメッセージ」とのバランスをとりつつ、コロナウイルス対策、外交問題、予算の速やかな成立を最優先事項に掲げていた

報道によると、バイデン大統領と閣僚は前大統領に焦点を当てるのではなく、まずは目下の課題に対処することを優先したいと考え、弾劾裁判を冷めた目で見ていたという。

しかし、議会議事堂に対する悪質な攻撃およびさらなる攻撃の可能性など、憂慮すべき事態が次々と明らかになったことで、弾劾よりコロナと考えていたバイデン大統領の初期の考えは放棄されたと補佐官は語った。

バイデン大統領は1月13日の記者会見で、下院の弾劾投票を「憲法とその良識に従ったメンバーによる超党派の投票」と呼び、「手続きは当然」という考えに変わったことを示唆していた。

ジョー・バイデン大統領(1月13日):
「アメリカはコロナとそれがもたらす厳しい経済に支配されている。上院の指導部が弾劾に関する憲法上の責任に対処すると同時に、他の緊急の法案にも速やかに取り組むことを願っている」

公式声明によると、弾劾裁判の裁判長を務めるのは、上院に最も長く奉仕している民主党のパトリック・リーヒ議員に決まったという。

リーヒ上院議員は声明の中で、「前大統領の弾劾裁判を主催するにあたり、私は憲法と法律に従って、公正に裁判を管理すると誓約する。私は憲法に宣誓した上院議員としての義務を果たす」と述べた。

バイデン政権は上院公聴会で速やかに確認されなければならない閣僚および高官就任予定者を抱えている。また、1.9兆ドル(約200兆円)のコロナ救済法案の通過も目指さねばならない。なお、共和党員は1.9兆ドルの巨大法案に疑問を投げかけており、紛糾することは確実と伝えられている。

一方、トランプ氏の事務所は25日の声明で、「元大統領の事務所を開設した」と発表した。

当局者は、「事務所はトランプ大統領の書簡、公の声明、メディアなどへの出演、およびアメリカの利益を促進するための公式活動などを管理する」と述べた。

2021年1月25日 上院テレビ/ワシントンD.C.議会議事堂、下院民主党員が上院に弾劾決議案を提出
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