◎クロアチアの大統領の権限は限られているが、それでも軍隊の最高司令官である。
クロアチア、首都ザグレブ、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するデモ(Getty Images)

クロアチアのミラノビッチ(Zoran Milanovic)大統領は30日、欧米各国のウクライナへの戦車供与を批判し、兵器供与は戦争を長引かせるだけだと指摘した。

ミラノビッチ氏は記者会見で、「ロシアが戦争で負けると信じるのは狂気の沙汰だ」と語った。

またミラノビッチ氏は「兵器の供与は戦争を長引かせるだけだ」と述べた。「彼らは何を目指しているのですか?ロシアの崩壊?政権交代?ロシアをバラバラにするという噂もあります。狂気の沙汰です」

ミラノビッチ氏は2019年の大統領選で右派勢力に対抗するリベラル派候補として出馬し、勝利した。しかし、当選からまもなく、同氏はロシア寄りのポピュリスト政治家に変身した。

地元メディアはミラノビッチ氏はロシア寄りと批判しているが、本人はこの主張を強く否定している。しかし、同氏はこの数カ月、北欧2カ国のNATO加盟やEUのウクライナ支援のひとつであるウクライナ軍の訓練に公然と反対してきた。

ミラノビッチ氏は30日の会見で、クリミア半島がウクライナ領になることは二度とないと述べ、親ロシアをアピールした。

ドイツは先週、陸軍の主力戦車「レオパルト2」の供与を決断し、米国もそれに続いた。

ミラノビッチ氏は、「私は2014年(クリミア併合)から2022年まで、誰がこの戦争を始め、どのようにロシアを挑発してきたか見守ってきた」と語った。

またミラノビッチ氏は核兵器を保有する超大国を倒すことはできないと主張した。「この戦争の目的は何ですか?核保有国を倒せると思いますか?誰がその代償を支払うのですか?それはヨーロッパ人です。米国は遠くからロシアが倒れるのを眺めているだけです」

さらにミラノビッチ氏は「米国の戦車供与は1年以上先になる」と主張した。「米国は1年以内に戦車を1両も送りません。ドイツの戦車だけが送られることになるでしょう...」

クロアチアの大統領の権限は限られているが、それでも軍隊の最高司令官である。

クロアチア政府はウクライナを全面的に支援しており、プレンコビッチ(Andrej Plenkovic)首相は今回のミラノビッチ氏の発言に困惑を表明。苛立ちを隠さなかった。

プレンコビッチ氏は30日、ミラノビッチ氏の姿勢について「クロアチアの外交政策に害を与えるものだ」と批判した。

2023年1月1日/クロアチア、首都ザグレブ、プレンコビッチ首相(左)と欧州委員会のフォンデアライエン委員長(Darko Bandic/AP通信)
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