◎ウクライナ軍とロシア軍は東部および南部地域で激戦を繰り広げているとみられる。
2022年6月15日/ウクライナ、東部ルハンシク州セベロドネツク市内(Getty Images/AFP通信)

ウクライナ東部ルハンシク州のハイダイ(Sergiy Gaiday)知事は11日、ウクライナ軍が市内にあるロシア民間軍事企業「ワグネル」本部を攻撃したと明らかにした。

ハイダイ氏はテレグラムに「ロシア占領地に設置されたワグネルの基地が攻撃を受けた」と投稿。大きな被害が出たという。

ワグネルは市内のホテルに拠点を置いていると伝えられている。

ワグネルはプーチン(Vladimir Putin)大統領の側近であるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏が創設した民間軍事企業。ウクライナだけでなく、アフリカや中東でも戦争犯罪で告発されている。

ワグネルの部隊はウクライナ南部クリミア半島、シリア、リビア、マリ、中央アフリカで活動しているとみられるが、その実態はほとんど明らかになっていない。

ハイダイ氏はワグネル本部への攻撃について、「傭兵の少なくとも50%が医療処置を受けられずに死亡すると予想している」と説明した。

一方、ロシア軍は前日、南部オデーサ州にイラン製自爆ドローンを送り、エネルギーインフラを破壊した。

ウクライナ軍は10日の声明で、ドローン10機を撃墜し、5機がエネルギーインフラを攻撃したと明らかにした。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領も攻撃を受けたと認め、南部の150万人以上が停電の影響を受けていると報告。復旧には2~3カ月ほどかかる可能性があると警告した。

南東部の都市メリトポリ(ザポリージャ州)を占領するロシア当局は11日、ウクライナ軍のミサイル攻撃で2人が死亡、10人が負傷したと報告した。当局は住宅地とみられるエリアで発生した火災の写真を公開している。

ザポリージャ州のロシア首長もテレグラムに声明を投稿。ウクライナ軍のミサイル2発を撃墜し、4発が民間インフラに着弾したと主張した。

また首長は米軍がウクライナに供与した高軌道ロケット砲システム「ハイマース」による攻撃と主張し、民間施設への攻撃を非難した。

メリトポリ当局はウクライナ兵数十人を殺害したと報告している。この都市は3月下旬に占領され、以来、南東部ロシア軍の主要物流拠点になっている。

ウクライナ軍とロシア軍は東部および南部地域で激戦を繰り広げているとみられるが、前線の状況はほとんど明らかになっていない。東部の主戦場はドネツク州バフムート周辺と伝えられている。

ウクライナは冬の到来でぬかるんだ地面が凍りついたことを受け、攻撃を加速させているようだ。

ドネツク州のウクライナ当局は10日、バフムート周辺を奪還する取り組みが続いていると報告した。

一方、ウクライナ大統領府は10日、バフムートで戦闘が続いていることを認めたうえで、「ウクライナ軍の最優先目標はメリトポリになる可能性がある」と示唆した。

大統領府は声明の中で、「メリトポリが陥落すればヘルソン州までの防衛ラインが崩壊すると見込んでいる」と述べている。

米シンクタンク「戦争研究所」によると、メリトポリが陥落して、ヘルソン州の防衛ライン(ドニエプル川東岸)が崩壊すれば、ウクライナ軍はその先にあるクリミア半島に続くルートを確保できる可能性があるという。

2022年9月23日/ウクライナ東部、ルガンスク人民共和国のパセチニク首長(AP通信)
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