◎イギリスの消費者物価指数(CPI)は昨年10月に11.1%まで上昇、40年ぶりの水準に達した。
2023年3月14日/イギリス、ロンドン、賃上げを求める医療労組のデモ(Alastair Grant/AP通信)

ロンドンに本部を置く労働組合は16日、政府との労使交渉が妥結し、数カ月にわたるストライキを終了すると示唆した。

BBCによると、ロンドンに本部を置く最大労組ユナイト(Unite)は数日中に政府が提案した「今年度の一時金支給」と「来年度の賃金5%増」を受け入れるかどうかを採決する予定だという。

ユナイトはイギリスの看護師や救急隊員など、100万人以上の医療従事者を代表している。

ハント(Jeremy Hunt)財務相は前日、医療部門への追加予算を含まない補正予算案を発表したが、ストの圧力に屈したようだ。

ハント氏はストを繰り返し批判していた。

スナク(Rishi Sunak)首相は16日、ロンドンの医療機関を訪問し、コロナの感染拡大に立ち向かった国民保健サービス(NHS)の職員を称賛したうえで、「政府が提案した昇給は良い取り引きである」と主張した。

またスナク氏はストを決行している他の労組にも交渉のテーブルにつくよう促した。

しかし、この取引を支持するNHS看護師らの労組「王立看護協会(RCN)」はスナク氏を厳しく批判した。

RCNの書記長は声明で、「看護師がストを決断し、政府に交渉を強いなければ、この賃金提示はあり得なかっただろう」と述べた。

書記長は消費者物価指数(CPI)がこの数十年で最悪の水準に達していることに言及した。「5%でも足りないぐらいです...」

イギリスのCPIは昨年10月に11.1%まで上昇、40年ぶりの水準に達した。1月は10.1%まで低下したものの、それでも高く、人口の大多数を占める低中所得者層は生活費の支払いに苦労している。

RCNの書記長は「5%の賃上げは進歩であり、RCNは今回の交渉で確保した成果を支持するよう関係労組に求める」と述べた。

一方、英国最大の労組でありながら、医療分野では影が薄いユナイトの書記長は政府を非難し、「5%に納得しておらず、受け入れるか否かは組合員投票で決める」と強調した。

また書記長は、「この保守政府が労働者やNHS職員の生活を優先していないことは明らかであり、労働者全般に対する彼らの行動や軽蔑は決して許されるものではない」と述べた。「高級官僚は労働者が国を支えていることを理解していません...」

その他の労組も公共部門の賃金について、多くの家族が生活費の支払いに苦労し、食費を限界まで切り詰めていると主張している。

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