チャドのスーダン難民キャンプで「髄膜炎」拡大、MSFが警告
スーダン内戦は数万人の死者と1400万人以上の避難民を生み、周辺国にも深刻な影響を及ぼしている。
.jpg)
アフリカ中部・チャドの東部で隣国スーダンから逃れてきた難民が集まるキャンプを中心に、致死性の高い「髄膜炎(ずいまくえん)」の感染が急速に拡大している国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が23日に明らかにしたもので、劣悪な生活環境と過密状態が感染拡大の主因とみられている。
髄膜炎は脳と脊髄を包む「髄膜」に細菌やウイルスが感染して炎症を起こす疾患。主な症状は38〜39℃以上の高熱、激しい頭痛、嘔吐、首の突っ張り(項部硬直)など。
MSFによると、3月から4月にかけて、同団体の医療施設に入院した髄膜炎患者のうち、子ども212人中25人が死亡した。致死率は12%に達し、極めて深刻な状況となっている。現地では病床の稼働率が100%に達し、他の疾患への対応にも支障が出ているという。
感染拡大の背景にはスーダン内戦の長期化による難民の大量流入がある。2023年に勃発した国軍と準軍事組織の戦闘により、数百万人が国外に逃れ、チャドには130万人以上の難民が滞在している。キャンプは急速に膨張し、衛生環境や医療体制が追いついていない。
特にスーダン国境近くの町では最近も難民の到着が続き、人口過密が一段と進んでいる。この結果、髄膜炎に加え、麻しん(はしか)の感染も広がっており、肺炎を併発する重症例が相次いでいる。MSFの担当者はフェイスブックへの投稿で、「毎日のように重症の子どもが搬送される」と述べ、医療体制の逼迫を訴えている。
さらに、資金不足による人道支援の縮小も状況を悪化させている。食料や水、医療支援が十分に行き届かず、難民の多くが最低限の生活水準を下回る過酷な環境で暮らしている。こうした栄養不良や衛生悪化は感染症の拡大を助長する要因となっている。
これに対し、チャド政府とMSFは緊急対応としてワクチン接種を進めている。これまでに9万5000人以上の子どもに麻しんワクチンを、33万7000人以上に髄膜炎ワクチンを接種したが、流入が続く中で対応が追いついていない。
スーダン内戦は数万人の死者と1400万人以上の避難民を生み、周辺国にも深刻な影響を及ぼしている。チャド東部の難民キャンプはその最前線にあり、感染症の拡大は単なる医療問題にとどまらず、地域全体の人道危機を象徴する事態となっている。国際社会による資金支援と医療体制の強化が急務である。
