◎エクソンモービル、BP、シェルなどのスーパーメジャーは西側政府の対ロシア制裁に速やかに追随したが、トタルエネジーズの対応は後手に回っている。
2021年5月28日/フランス、トタルエナジーズのロゴ(Getty-Images/AFP通信)

フランスのエネルギー大手トタルエナジーズは22日、遅くとも年内にロシアの原油および石油製品の輸入をすべて停止すると発表した。天然ガスは対象外。

同社は声明の中で、欧州への石油供給は代替え供給源から確保すると強調した。

エクソンモービル、BP、シェルなどのスーパーメジャーは西側政府の対ロシア制裁に速やかに追随したが、トタルエネジーズの対応は後手に回っている。

同社は声明の中で、「現在および将来の制裁がロシアでの資産運用に影響が出ようとも、厳格に対応する」と誓った。

同社の2020年のロシア産原油・天然ガス輸入量は全体の17%を占めている。

また同社はロシアの天然ガス会社ノバテックの株式を19.4%保有している。さらに、ロシア北部のヤマルLNGプロジェクトには20%出資している。

同社は声明の中で、「欧州がロシアの天然ガスを必要と考える限り、ヤマルLNGプロジェクトへの関与を継続する」と述べている。

また同社は、「今後2〜3年、欧州のエネルギー供給に影響を与えずにロシア産天然ガスの輸入を控えることが困難であることは明らかだ」と断言している。

今回同社は、ロシアで行っている燃料電池と潤滑油の事業開発を保留することも決めた。声明によると、ロシアのプロジェクトには今後一切資金を提供しないとのこと。

声明によると、同社はドイツ東部にあるロイナ製油所へのロシア産原油の供給を年内に終了し、代わりにポーランド経由で原油を輸入する予定だという。

また同社は、ロシアの燃料油の購入契約を年内に終了させる。欧州は昨年、燃料油の約12%をロシアから輸入していた。

同社はサウジアラビアのサトルプ製油所で生産される燃料油を中心に、他の大陸から石油製品を輸入するとしている。

BPは先月、国営石油・ガス会社ロスネフチの株式140億ドル(約1.7兆円)を放棄すると発表した。その翌日、シェルは国営ガスプロムとの合同事業と、西ヨーロッパに天然ガスを輸送するガスパイプライン「ノルドストリーム2」の事業から撤退した。

エクソンモービルは主要なロシアの石油・ガスプロジェクトから撤退し、ロシアへの新規投資を停止した。中小のエネルギー企業もこれに追随している。

ジョー・バイデン大統領は3月9日、対ロシア制裁の一環としてロシア産エネルギーの禁輸に踏み切った。

EUはロシア産ガスと原油に大きく依存しているため、同様の決断を下すことができなかった。

AP通信によると、EU当局は22日、ロシアのエネルギー依存による危機を避けるために、天然ガスの共同購入と新たな貯蔵施設の確保に向けて取り組みを始めたとのこと。

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