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総選挙前のスウェーデン、移民に現金支給で帰国促す、強硬な移民政策に賛否

制度の対象は欧州連合(EU)域外出身で、スウェーデンの在留許可を持つ人々だ。
2023年9月29日/スウェーデン、首都ストックホルム、クリステション首相(左)と国家警察の長官(Anders Wiklund/TT News Agency/AP通信)

スウェーデン政府が国外からの移民に対して、帰国すれば最大35万スウェーデンクローナ(約570万円)を支給する制度を進めている。9月13日の総選挙を目前に、移民抑制を掲げる右派政権が政策を強化する中で導入されたもので、かつて移民受け入れに積極的だった同国の大きな政策転換として注目を集めている。

制度の対象は欧州連合(EU)域外出身で、スウェーデンの在留許可を持つ人々だ。政府は2026年から帰国を希望する人への経済的支援を拡充し、総額13億クローナの予算を計上している。クリステション(Ulf Kristersson)首相は「再移住」の促進を政府の重要課題に位置付けており、移民政策をめぐる厳しい姿勢を明確にしている。

スウェーデンは2015年の欧州難民危機で約16万3000人の庇護申請者を受け入れたが、2025年までにその数は96%減少した。政府は犯罪対策や社会統合を理由に移民政策を厳格化し、永住権制度の見直しや、帰化申請者を対象とした市民権試験も導入している。8月には初めて市民権試験が実施され、スウェーデンの歴史や社会、制度に関する知識などが問われた。

一方、帰国支援制度の利用者は現時点で171人にとどまる。移民政策を研究する専門家からは、金銭的な誘因だけで自主的な帰国が大幅に増える証拠は乏しく、制度は実際の移民削減よりも、政府が移民問題に厳しく対応していることを示す政治的な意味合いが強いとの指摘が出ている。

制度を強く支持するのが、政権を議会で支える極右政党・スウェーデン民主党だ。同党はさらに踏み込み、スウェーデン国籍を持つ移民についても、国籍を放棄して帰国する場合に支援制度を適用するよう求めている。こうした主張に対し、野党や人権団体は社会の分断を深める政策だと批判している。

選挙戦ではクリステション氏率いる右派陣営と、中道左派を率いる社会民主党のアンデション(Magdalena Andersson)前首相の勢力が接戦を繰り広げている。移民、治安、物価、福祉などが主要争点となる中、移民政策の厳格化が有権者の支持を得られるかが、政権の行方を左右する焦点となっている。

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