◎コソボは2008年にセルビアからの独立を宣言。西側諸国の大半はこれを承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国は認めていない。
コソボのセルビア国境付近(Laura Hasani/ロイター通信)

セルビア当局は14日、同国のコソボ国境付近で完全武装したコソボの警察官3人を逮捕した。中央政府が明らかにした。

しかし、コソボ政府は自国の領内をパトロールしていた警察官3人がセルビア軍に拉致されたと反論している。

コソボのクルティ(Albin Kurti)首相はフェイスブックに声明を投稿。「セルビア軍がコソボに侵略し、警察官3人を拉致した」と書き込んだ。

それによると、警察官3人はセルビア国境から300mほど領内に入った地点で拘束されたという。

クルティ氏はセルビア軍を「侵略者」と呼び、3人を速やかに解放する要求した。

しかし、セルビアのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は国営テレビのインタビューでクルティ氏の主張を却下し、完全武装したコソボの警察官3人が国境から1.8km離れた集落近くまで侵入したと反論した。

またブチッチ氏はクリティ氏が暴力を扇動していると非難した。「バルカン半島にどんな犠牲を払ってでも紛争に持ち込みたいと考えている男がいます。それがクルティです。とんでもない男だ」

ブチッチ氏はセルビア軍がコソボ領内に入ったというクルティ氏の主張を全面否定した。「我が国の良識ある兵士たちは隣国の国境を許可なく踏み越えたりしません。そんなことをするのはコソボ人ぐらいです...」

セルビアの警察当局によると、逮捕したコソボの警察官3人は自動小銃、GPS装置、地図などを所持していたという。

セルビア警察がSNSで公開した動画には、覆面をした男たちが手錠をかけられたコソボの警察官とみられる3人を連行するところが映っていた。

ブチッチ氏はインタビューの中で、「我々は国際刑事裁判所(ICC)を含むすべての国際機関に必要な証拠を提出し、コソボ人の犯罪を立証する用意がある」と述べた。

コソボは2008年にセルビアからの独立を宣言。西側諸国の大半はこれを承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国は認めていない。

コソボ紛争(1998~99年)の死者数は1万3千人と推定されている。セルビア軍によるアルバニア系住民の虐殺は国際的な批判を引き起こし、NATOが紛争を終わらせるためにセルビアを空爆した。

NATOは今週、セルビア系住民が多数派を占める地域で緊張が高まっているとして、KFOR(NATO平和維持部隊)の体制を強化すると発表した。この増派でKFORの要員数は3800人から5000人程度になるとみられる。

コソボ北部のセルビア系住民は最近行われた地方選挙をボイコットし、その結果、アルバニア人市長が誕生した。市長選の投票率は過去最低を大幅に更新する3.5%にとどまった。

セルビア系住民は先月末、アルバニア人市長の就任を阻止するために自治体事務所を襲撃、占拠しようとし、暴力に発展。KFORと衝突した。NATOによると、この衝突でKFORの兵士30人とセルビア人52人が負傷した。

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