ボスニア選挙、親露派ドディク氏が勝利宣言、民族対立がEU加盟の壁に
ドディク氏はボスニア国内のセルビア系住民が多数を占める「セルビア人共和国(スルプスカ共和国)」の元大統領で、ロシアとの関係を重視してきた。
.jpg)
ボスニア・ヘルツェゴビナで4日、総選挙が行われ、セルビア系分離主義者のドディク(Milorad Dodik)氏が勝利を宣言した。ドディク氏自身は公職への立候補を禁じられており投票用紙に名前がなかったが、選挙戦を通じて強い影響力を維持した。
地元メディアによると、開票率90%の時点で、同氏の側近であるツビヤノビッチ(Željka Cvijanović)氏は、三民族で構成される大統領評議会のセルビア系議席で55%超を得て、2位候補を大きく引き離した。
ドディク氏はボスニア国内のセルビア系住民が多数を占める「セルビア人共和国(スルプスカ共和国)」の元大統領で、ロシアとの関係を重視してきた。1995年のボスニア紛争終結後に設けられた国際監督機関の決定に従わなかったとして有罪となり、公職就任を禁止されたが、今回も自身の政党を通じて政治的影響力を示した。選挙後には勝利を宣言し、「われわれの政治を変えるよう求めるべきではない」と述べ、分離独立を含む従来の路線を維持する考えを示した。
ボスニアでは1992~95年の戦争で10万人以上が死亡し、民族間の対立は現在も政治制度に深く残る。1995年のデイトン和平合意によって、イスラム教徒が中心のボシュニャク人、正教徒のセルビア人、カトリック系クロアチア人の権力均衡を図る複雑な統治制度が構築されたが、各民族の政党がそれぞれの支持基盤を固める構造は続いている。
今回の選挙では投票率も低迷し、投票者数は約143万人、投票率は42%と、2022年の前回選挙から約8ポイント低下した。経済停滞や汚職、若者の国外流出に対する有権者の不満が強まる一方、政治家が民族主義を利用して社会問題への対応を後回しにしているとの批判もある。
ボスニアは欧州連合(EU)加盟を目指しているが、民族間の対立や改革の停滞が障害となっている。今回の選挙で親露派勢力が影響力を維持したことで、EU加盟を進めたい勢力と、セルビアやロシアとの関係を重視する勢力の対立がさらに鮮明になる可能性がある。
民族対立を抑え、法制度や経済の改革を進められるかが、ボスニアのEU加盟への道を左右することになる。
