◎米国、NATO、EUはウラジーミル・プーチン大統領が提案した安全保障条約の草案を拒否しており、ウクライナ東部で進行中の危機は予断を許さない状況が続いている。
2022年1月13日/カザフスタン、アルマトイに配備されたロシア兵(Vladimir Tretyakov/NUR.KZ/AP通信)

1月13日、ロシアのセルゲイ・リャブコフ副外相は反米国家のキューバとベネズエラに部隊を展開する可能性を除外せず、米国とNATO(北大西洋条約機構)に圧力をかけた。

リャブコフ副外相はロシアの国際放送RTVIのインタビューの中で、「米国とその同盟国がロシアの玄関口での軍事活動を縮小しなければ、ラテンアメリカの同盟国に部隊を展開する可能性を否定できなくなる」と述べ、米国をけん制した。「プーチン大統領は米国とNATOの動きを注視しています...」

米国務省のジェイク・サリバン報道官は13日、リャブコフ副外相の発言を「騒々しい」と却下した。

リャブコフ副外相は1月10日の米ロ協議でロシア代表団を率いた。ロシア・NATO協議は12日にジュネーブで開催され、ロシア・EU協議は13日にウィーンの欧州安全保障協力機構で行われる。

米国、NATO、EUはウラジーミル・プーチン大統領が提案した安全保障条約の草案を拒否しており、ウクライナ東部で進行中の危機は予断を許さない状況が続いている。

ロシアは先月公表した草案の中で、「ロシアの領土を攻撃できる範囲にNATO軍を配備しない」「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」などを求めている。

サリバン報道官は記者団に、「私たちはNATOの原則を堅持し、話し合いに応じることができる分野と、できない分野をロシアに示した」と述べた。

またサリバン報道官は、「米ロ協議はこれ以上予定されていないが、米国は外交を継続する用意ができている」と述べ、再協議の可能性を否定しなかった。

米国はロシアがウクライナに侵攻した場合、「前例のない経済制裁を科す」と警告している。一方、ロシアはNATOのさらなる東方拡大を「レッドライン」と呼び、要求に応じなければ最悪の事態もあり得ると警告した。

リャブコフ副外相は先月の記者会見で現在の緊張を1962年のキューバ危機と比較し、ミサイルを配備する可能性について否定しなかった。

核戦争の危機はキューバに侵攻せず、トルコから米国のミサイルを撤去するというケネディ大統領の約束と引き換えに、ロシアのフルシチョフ首相がキューバから撤退することに同意し、終結した。

リャブコフ副外相はインタビューの中で、「米国とその同盟国はウクライナや他の旧ソビエト諸国へのNATO展開をやめるというロシアの要求を拒否したため、協議を続けることは難しい」と述べた。「米国は私たちが提案した安全保障条約のいくつかの項目について話し合いと考えているようです。そして米国はうまく緊張を和らげ、ロシアの玄関口にミサイルを配備するでしょう。私たちはこれ以上後退できません...」

またリャブコフ副外相は、米軍とNATO軍はロシアの領土近くで訓練を継続していると不満を表明した。「米国の核対応戦略爆撃機はロシアの国境からわずか15kmの地点を飛行しました。私たちは米国の軍事的圧力に直面しています。ロシアの核対応爆撃機が米国の西海岸または東海岸付近を飛行したら、彼らはどう思いますか?」

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官も13日の定例会見で、ウクライナ東部からロシア軍を撤退させるという西側諸国の呼びかけを却下した。「ロシアは領土内で訓練を行っているだけであり、NATOからとやかく言われる筋合いはありません」

ペスコフ報道官は10日の米ロ協議について、「前向きな要素はいくつか見られたが、主要な問題は完全に行き詰まっている」と米国を非難した。

セルゲイ・ラブロフ外相も米国の提案を「傲慢」と呼び、前例のない経済制裁を科すという脅迫を非難した。「ロシアはさらなる措置を検討しています。私たちは米国とNATOが書面で草案に応じることを期待しています...」

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は13日、記者から米ロのさらなる関係悪化を心配しているかと尋ねられ、「世界規模の災害を防ぐためには対話で問題を解決しなければならない」と強調した。「対話で緊張を緩和することが必要不可欠です。対立は欧州だけでなく世界に影響を与えます...」

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

2021年9月11日/ロシア西部の軍事施設、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習(Vadim Savitskiy/Russian Defense Ministry Press Service/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)
スポンサーリンク