◎プーチン大統領は2016年の米大統領選に関与したという疑惑をあらためて却下し、今年1月にDC議会議事堂で発生した暴動に対する米政府の対応を批判的に語った。
6月4日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は経済フォーラムの演説でアメリカを非難し、1月6日のDC議会議事堂事件の対応はアメリカの汚い政策を象徴していると述べた。
プーチン大統領はサンクトペテルブルクで開催された経済フォーラムの中で、「6月16日にジュネーブで開催される首脳会談の主要議題は、軍事管理、世界各地で発生している紛争、コロナウイルス、気候変動になる」と明らかにした。
また、米ロの冷え切った関係については、「非常に低い水準にある両国の関係を改善する方法を模索する必要がある」と述べた。「しかし、アメリカはロシアの開発を封じ込めるための協議を西側諸国と進め、ロシアの関係国に経済制裁を科し、我が国の内政に影響を及ぼそうとしています...」
アメリカとロシアの関係は、2014年のクリミア併合、西側諸国の選挙への干渉、特定の企業に対するサイバー攻撃などの影響で著しく悪化した。
プーチン大統領は2016年の米大統領選に関与したという疑惑をあらためて却下し、今年1月にDC議会議事堂で発生した暴動に対する米政府の対応を批判的に語った。「議会に向け行進した市民は強盗や暴徒ではありませんでした。彼らは自分の意見を表明するために行動しただけです」
プーチン大統領は、アメリカはベラルーシの反政府デモに対する取り締まりを強く批判したにもかかわらず、DCで平和的に行進した自国民数百人を逮捕し、長期刑を言い渡したと述べた。「西側は皆同じです。ヨーロッパはロシアの反政府勢力に対する取り締まりは違法だと主張していますが、彼らは国内の抗議者にゴム弾を撃ち込みます。ある抗議者は顔を撃たれ、失明しました」
経済フォーラム終了後、プーチン大統領は主要国際通信社を対象としたオンライン記者会見の中でバイデン大統領との首脳会談について、「画期的な結果は期待できない」と述べた。
プーチン大統領はAP通信の質問に対し、「関係を悪化させたのはアメリカであり、ロシアは対話を求めている」と主張した。「最初に経済制裁を科したのはアメリカです。アメリカはあらゆる機会を通じて制裁を科しました。根拠がなくても制裁を科す、それがアメリカのやり方です」
またプーチン大統領は、「アメリカは自信過剰である」と批判したうえで、「旧ソビエトに似ている」と指摘した。「何が問題か分かりますか？旧ソビエトの元市民として皆さんにお伝えします。帝国の問題は理解していますよね？アメリカは自分が非常に強力で、小さな間違いは力でねじ伏せられると考えています」
「しかし、問題は増え続けています。力だけではいずれ対処しきれなくなります。アメリカは旧ソビエトと同じ道を歩んでいます」
プーチン大統領はロシアのハッカー集団がアメリカのパイプラインと食肉工場を標的にしたという主張を嘲笑した。「ロシアの市民は悪意のある活動には一切関わっていません。関係国が理解してくれることを願っています。ロシアの市民はアメリカの食肉工場に興味などありません。私たちはばかげた主張を楽しく聞いています。パイプライン？同様にばかげています」
「アメリカの優秀なサイバーセキュリティチームは、身代金を要求した危険人物を追跡しなければなりません。特定の企業からお金を強奪するなどあってはならないことです。ロシア政府はチキンやビーフは取り扱っていません」
プーチン大統領はサイバー攻撃に関する噂や告発は、首脳会談前に新たな紛争を引き起こしたいと考えている者たちが流したと主張した。「アメリカの中には、アメリカとロシアの関係を修復したいと考えている人もたくさんいます。しかし、バイデン大統領は修復を望んでいないように思えます」
またプーチン大統領は、ロシアのコロナワクチン展開を自慢し、気候変動対策を強化すると述べた。「ロシアは永久凍土の上に作られました。永久凍土が全部溶けたらどうなるの？」
さらに、ドイツと協力して進めているノルドストリーム2パイプラインの建設計画を称賛し、最初のパイプラインはまもなく完成すると述べ、ウクライナ経由の既存のパイプラインよりはるかに経済的と自慢した。
プーチン大統領は、「ロシアは既存の5年契約に基づき、年間400億立方メートルのガスをウクライナ経由で汲み上げる」と西側諸国を挑発した。
ロシアはウクライナ東部の分離主義者を支援し、ドンバス戦争の緊迫した綱引きを西側諸国との交渉の切り札のひとつとして利用している。
