◎国内の逮捕者を監視するOVDーInfoによると、4,700人以上が警察に拘留され、一部は警棒で激しく殴打されたという。
◎首都モスクワでは市中心部に前例のないセキュリティ対策が導入された。当局は地下鉄の駅を封鎖し、バスの運行数を減らし、レストランや小売店に閉鎖を命じた。
1月31日、ロシアの野党指導者、アレクセイ・ナワルニー氏の逮捕に抗議する数万人規模の抗議集会がロシア全土で再び決行された。
国内の逮捕者を監視するOVDーInfoによると、4,700人以上が警察に拘留され、一部は警棒で激しく殴打されたという。首都モスクワでは地下鉄の駅および市中心部が閉鎖された。
ナワルニー氏は、ロシアのエージェントによる神経ガス「ノヴィチョク」を使った攻撃から生還し、今月初めに帰国した直後に逮捕された。
ナワルニー氏と彼の支持団体は神経ガス攻撃をクレムリンの犯行と非難したが、当局は関与を否定している。
警察当局はナワルニー氏の逮捕の理由について、「執行猶予期間中に国外逃亡したため」と発表した。
一方、ウラジーミル・プーチン大統領は、推定13億5,000万ドル（1,400億円）の神秘的な宮殿の内幕をナワルニー氏と支持団体のYouTube動画で暴露されたが、すべての主張を却下したうえで、「動画はとても退屈だった聞いた」と述べた。
報告によると31日の抗議集会は11カ所で決行されたという。
モスクワでは市中心部に前例のないセキュリティ対策が導入された。当局は地下鉄の駅を封鎖し、バスの運行数を減らし、レストランや小売店に閉鎖を命じた。
ナワルニー氏の支持団体はロシア連邦保安庁（FSB）の本部があるモスクワのルビャンスカ広場に集まる予定だったが、警察が非常線を張ったため、中央広場や通りに場所を移した。
支持者たちは「プーチン、辞任せよ！」「プーチン、泥棒！」などと叫びながらモスクワ市内を何時間も行進し、警察の攻撃に直面した。
警察官は抗議者を警棒で激しく殴打し、踏みつけ、専用車両に次々と押し込み、どこかへ移送した。
集会に参加した男性は現地メディアの取材に対し、「プーチンは真実を語るナワルニーを恐れている。私たちは過半数を占めているので、何も恐れることはない」と述べた。
モスクワではナワルニー氏の妻ユリア氏を含む約1,500人が拘留された。ユリア氏は集会前に、「私たちが黙っていても、別の抗議者が行動を開始するでしょう」とインスタグラムに投稿した。
人権団体アムネスティ・インターナショナルのモスクワ事務所のナタリア・ズヴィアギナ所長は声明で、警察は手当たり次第に抗議者を逮捕したため、拘留施設のスペースが不足していると述べた。
ナタリア・ズヴィアギナ所長：
「クレムリンは市民の人権を踏みつけ、自由と変化への呼びかけを力でねじ伏せた」
ロシア第二の都市サンクトペテルブルクでは、一部の抗議者が警察の暴力に立ち向かい、乱闘に発展した。OVDーInfoによると、1,000人以上が逮捕されたという。
シベリア東部のノボシビルスクとクラスノヤルスク、およびウラルのエカテリンブルクでも数千人が抗議した。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官はツイッターに、「平和的な抗議者やジャーナリストに対する厳しい戦術の継続的な使用に抗議する」と投稿した。
これに対しロシアの外務省は、「米国務長官の公式声明はロシアの内政への干渉」と却下したうえで、「ワシントンD.C.はナワルニー派の抗議を扇動しロシアの治安を乱そうとしている」と非難した。
クレムリンは抗議集会を阻止する取り組みの一環として、ナワルニー氏の兄弟、活動家、野党関係者らを次々に逮捕している。
また、抗議集会への参加の呼びかけに利用されたソーシャルメディアに罰金を課し、特定地域内の電話もブロックした。
内務省によると、抗議者は大規模な暴動に参加した罪で起訴され、最大8年の懲役刑を科される可能性があるという。
31日午後、ナワルニー氏の支持団体は抗議集会の終了を宣言し、2月2日にモスクワの裁判所前で新たな集会を開催すると宣言した。
モスクワの裁判所はナワルニー氏の釈放要求を1月28日に却下しており、2月2日に失効猶予付きの判決を懲役刑に変更する可能性が高いと伝えられている。
