◎ロシアの野党党首、アレクセイ・ナワルニー氏の支持団体は4月21日に予定している抗議活動を「クレムリンとの最後の戦い」と呼んだ。
2019年6月24日/ロシア、首都モスクワの裁判所、アレクセイ・ナワルニー氏(ゲッティイメージズ/ワシーリー・マクシモフ/AFP通信)

4月18日、刑務所に投獄されたロシアの野党党首アレクセイ・ナワルニー氏を支持する団体と支持者たちは、ナワルニー氏に適切な医療を提供しない政府を非難し、大規模な抗議を決行すると呼びかけた。

抗議を呼びかけている団体は18日の声明で、「ナワルニー氏は数日以内に死ぬ可能性がある」と述べ、「政府はナワルニー氏を殺そうとしている」と非難した。

ナワルニー氏は昨年8月にソビエト産の神経ガス「ノヴィチョク」をロシアのエージェントに塗布され倒れたが、ドイツの病院で適切な治療を受けることができたため九死に一生を得た。しかし、今年1月に帰国した直後に逮捕され、秘密裁判で懲役2年8カ月の実刑判決を言い渡された。

投獄されたナワルニー氏は重度の腰痛と脚のしびれを訴え刑務所当局に薬の処方と治療を依頼したが、刑務所は申し出を却下し、同氏の体調は急速に悪化した。

団体はナワルニー氏の体調は急速に悪化していると警告し、「昨年8月の毒殺未遂事件と同じぐらい深刻な状況にある」と主張した。「アレクセイ・ナワルニーの人生とロシアの運命は、4月21日の抗議活動の人数に左右されます。私たちが行動しなければ、彼は死ぬでしょう」

ナワルニー氏の家族を支援している医師のひとり、ヤロスラフ・アシクミン氏は、4月17日にナワルニー氏の血液検査の結果を公表した。「カリウムの濃度が壊滅的な値まで上昇しており、いつ心不全を起こしてもおかしくない状態です。ナワルニー氏に適切な医療を提供してください」

アシクミン氏は18日に刑務所を訪れ、ナワルニー氏との面会を要請したが、立ち入りを拒否されている。

ナワルニー氏のスポークスマン、キラ・ヤーミッシュ氏は、「死ぬという言葉は使いたくないが、彼は死にかけています」と述べた。「このまま放置されれば、彼は数日以内に死ぬでしょう」

2021年1月23日/ロシア、首都モスクワ、ナワルニー氏の逮捕に抗議する市民と治安部隊(AP通信)

ロシアの検察は16日、ナワルニー氏の団体および支持団体を「過激派組織」に指定する手続きを開始した。これにより、ナワルニー氏に関連する大多数の活動は非合法化され、支持者たちは長期刑に直面する可能性がある。専門家は団体の過激派組織指定を「最も危険な試み」と呼び、治安当局の取り締まりはより厳しくなると警告した。

EUの外交政策責任者、ジョセップ・ボレル氏は18日の声明で、ナワルニー氏の体調に「深い懸念」を表明し、政府に適切な医療を速やかに提供をするよう要請した。米国務省も適切な医療を提供しなければならないと警告している。

米ネッド・プライス報道官は、「ロシア当局はナワルニー氏を保護する責任がある」とツイートした。「当局とホワイトハウスはナワルニー氏の健康状態が悪化しているという報告を認識しています。アメリカはナワルニー氏に適切な医療を提供するようロシア当局に要請します」

カーネギーモスクワセンターのアナリスト、アンドレイ・コレスニコフ氏は、「ロシア政府はナワルニー問題の完全終結を指示した可能性がある」と警告した。「政府はナワルニー氏を放置し、殺すつもりかもしれません。ナワルニー氏がいなくなれば、団体は勢いを失います。そして、過激派組織に指定された団体の抗議は厳しい現実に直面するでしょう」

ナワルニー氏の支持団体は4月21日に予定している抗議活動を「クレムリンとの最後の戦い」と呼んだ。「私たちはナワルニーの死を阻止し、民主主義を破壊するクレムリンに立ち向かいます。今行動しなければ、ロシアは闇に包まれるでしょう」

アメリカはナワルニー氏に対する神経ガス攻撃、ウクライナ問題、昨年末のサイバー攻撃などに関する制裁をロシアに科しているが、ロシア政府は報復制裁で応戦している。

2021年3月24日/ロシア、首都モスクワ、ウラジーミル・プーチン大統領(Alexei Druzhinin/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)
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