◎EUの首脳は契約違反と主張し、ルーブル建てには応じない姿勢を示している。
2022年3月31日/イタリア、ローマの外国人記者クラブ室、ドラギ首相(Domenico Stinellis/AP通信)

ロシアのプーチン大統領は31日、非友好国に天然ガスのルーブル建てを改めて要求した。

この措置は急落したルーブルを支える措置のひとつと見なされているが、EUの首脳は契約違反と主張し、ルーブル建てには応じない姿勢を示している。

ロシア国営メディアによると、プーチン大統領は4月1日からガス代をルーブルで徴収するようガス会社に求め、買い手が拒否した場合、ガスの元栓を閉めるよう命じた。

プーチン大統領は、「ルーブルが振り込まれなかった場合は、買い手が義務を果たせなかったとみなし、結果を招くだろう」と述べた。

ロシアの天然ガスに依存しているEUの指導者たちは、ユーロかドル建てを続けると慎重に主張してきた。

イタリアとドイツの首脳はプーチン大統領からユーロ建ての保証を得たと前日に発表し国民を安堵させたが、ロシアは期待を裏切らなかった。

プーチン大統領は先週、ウクライナ侵攻でロシアに制裁を科した非友好国の天然ガス販売をルーブル建てでのみ行うと発表し、西側諸国を困惑させた。

この提案後、天然ガス価格は高騰し、ロシアに依存している欧州がガス欠を起こすのではないかという懸念を引き起こした。

プーチン大統領の要求は欧米の制裁で急落したルーブルを支える努力のひとつに見えた。ルーブルは3月上旬に1ドル143ルーブルまで急落したが、31日には開戦前の水準である1ドル82ルーブルまで回復した。

米ホワイトハウスは31日、「ルーブルはもはやロシア経済の信頼できる指標ではない、なぜなら人為的に支えられているからだ」と不満を表明した。

米投資銀行エバーコア・パートナーズのアナリストは、「今回の要求はプーチン大統領はEU首脳を自分の意のままに操ることができると証明するためのもの」と述べている。

またアナリストは、「ロシアがEUにルーブル建てさせたとしても、EUはロシアの化石燃料に関税を課すか、全面的に輸入を禁止することで報復できる」とも述べている。

EUが肉を切らせて骨を断つかどうかは分からないが、最悪の事態に備えて準備を進めていることは確かである。ドイツとオーストリアはガス緊急警戒態勢に移行し、配給制の検討を始めた。

ロシア国営メディアが報じた天然ガスの取引に関する新たな法律によると、指定された銀行は買い手のために外貨とルーブル用の口座を開設する必要がある。

買い手は外貨で支払い、銀行はモスクワの通貨取引所でルーブルに交換する。そしてルーブルは2つ目の口座に入れられ、初めて取引が成立する。

ブルーベイ・アセット・マネジメントのアナリストは、「プーチンは何を望んでいるのだろうか?」とソーシャルメディアに投稿している。「プーチンはEUの弱みに付け込み、はったりをかけ、エネルギー危機を作り出そうとしています。先にブレーキを踏んだ方が負けです」

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