◎ポーランドとリトアニアは、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が主導する不法移民送り込み攻撃に悩まされている。
2021年9月1日/ポーランドとベラルーシの国境、不法移民を監視するポーランド軍の兵士たち( Czarek Sokolowski/AP通信)

9月20日、ポーランド政府は隣国ベラルーシから送り込まれてくる不法移民を取り締まるために、軍の兵士500人と部隊の特殊車両を国境沿いに追加配備すると発表した。

マテウシュ・モラウィッキ首相は20日の記者会見で、「EUの不安定化を狙うベラルーシとロシアの工作に対処します」と述べた。現地メディアによると、モラウィッキ首相は内相と国境警備隊の責任者と会談し、不法移民の取り締まり強化について話し合ったという。

モラウィッキ首相は記者団に対し、「政府はポーランドの国境と国民を守るために国境警備を強化し、不法移民の流入を防ぎます」と述べた。

マリウシュ・カミンスキー内相は、今週中に兵士500人と部隊の特殊車両8台を国境沿いに追加配備すると明らかにした。

ポーランドとリトアニアは、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が主導する不法移民送り込み攻撃に悩まされている。両国を含むEU加盟国はルカシェンコ政権の不法移民送り込みを「ハイブリッド攻撃」と呼び、非難した。

ルカシェンコ大統領は昨年の大統領選における抗議者への弾圧や、独立系ジャーナリストやメディアに対する厳しい取り締まりで西側諸国から非難され、複数の経済制裁を科された。隣国に対するハイブリッド攻撃はEUの不安定化と西側への報復を兼ねている。

モラウィッキ首相は、取り締まりは強化するが、体調の悪い移民希望者には必要な医療を提供すると約束した。また、20日にベラルーシの国境近くでイラク人を含む不法移民3人を確保したが、3人はいずれも低体温症を発症し、まもなく死亡したと述べた。

現地メディアによると、3人の遺体はベラルーシに移送されたという。

国境警備隊の責任者である軍のトマシュ・プラガ将軍は、ベラルーシ側で移民希望者と思われる女性の遺体が見つかったと明らかにした。

モラウィッキ首相によると、ベラルーシから送り込まれてくる移民は主に中東とアフリカ人で構成され、不法移民を斡旋する違法業者に多額の現金を支払い、ドイツへの移住を目指しているという。ベラルーシはハイブリッド攻撃を加速させるために、イラクを含むいくつかの中東諸国からのビザなし旅行を許可したと伝えられてるが、ルカシェンコ大統領はこの主張を却下している。

モラウィッキ首相は、13人の子供と一緒に入国を試みた女性を最近逮捕したと述べた。現地メディアによると、13人のうち数人はコロナウイルスに感染していたという。

人道支援団体は移住を希望する人々の窮状に懸念を強めている。ポーランド政府の移民取り締まりに抗議する団体は、首都ワルシャワにある国境警備隊の本部前で死亡した移民の死を悼んだ。

ポーランドとリトアニアはベラルーシ国境沿いにかみそりワイヤーフェンスを建設し、国境警備を増強し、移民の取り締まりを強化する一時的な非常事態を宣言したうえで、ジャーナリストや人道支援団体を国境付近から締め出した。ポーランド政府は9月末に発出中の非常事態宣言を延長するかどうかを決める予定。

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