イタリアで逮捕された中国人ハッカー、米国に身柄引き渡しへ
徐容疑者は2025年7月、米国の要請に基づきイタリア・ミラノで逮捕された。
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イタリア政府が米当局に指名手配されている中国人ハッカーの身柄を米国へ引き渡す方針を決めたことが明らかになった。現地メディアが26日に報じた。今月のイタリア裁判所による引き渡し容認の判断を受けた措置である。
対象となっているのは中国国籍の徐沢偉(Xu Zewei)容疑者で、米司法当局は同容疑者が2020年から2021年にかけて、米国の大学や研究機関などに対するサイバー攻撃に関与したとみている。特に新型コロナウイルスに関するワクチンや治療法、検査技術などの研究データを盗み取った疑いが持たれており、電信詐欺や個人情報窃取など複数の罪で訴追されている。
徐容疑者は2025年7月、米国の要請に基づきイタリア・ミラノで逮捕された。米側は同容疑者が中国政府の指示のもとで活動していたと主張。容疑者はサイバー諜報グループ「ハフニウム(Hafnium)」の一員としても活動していたとされる。このグループは2021年、ソフトウェアの脆弱性を突いて世界中の多数のコンピューターに侵入したとされ、国際的にも大きな問題となった。
今回の引き渡し決定について、イタリア政府は公式なコメントを出していない。一方、徐容疑者の弁護人は、依頼人が決定について正式な通知を受けていないとした上で、依頼人は無実であり誤認逮捕だと主張している。
この問題はサイバー攻撃を巡る米中間の対立を背景に浮上している。米国はこれまでも、中国が関与したとされる知的財産の窃取やサイバー諜報活動を繰り返し非難してきた。一方、中国側はこれを否定し、サイバー空間での対立は国際関係の新たな火種となっている。
今回の事案は欧州諸国が米国の要請に応じて中国人容疑者を引き渡す異例のケースともいえる。イタリアは近年、中国との経済関係を維持しつつも、安全保障やサイバー分野では米国との連携を重視する姿勢を強めており、その外交バランスが問われる形となった。
徐容疑者の身柄が米国へ移送されれば、サイバー犯罪や国家関与の疑いを巡る司法判断に注目が集まることになる。今回の決定はサイバー空間における国家間の責任追及と法執行のあり方に一石を投じる事例となりそうだ。
