◎極右を支持する人々はドイツがあの時どうなったか、学校でもう一回勉強しなおすべきです…
2024年1月21日/ドイツ北部ブレーメン、極右の移民政策に反対する集会(Carmen Jaspersen/ドイツ通信社)

ドイツ全土で21日、極右政党に抗議する集会が開かれ、数十万人が参加した。

ミュンヘン警察によると、市中心部で行われたデモには約10万人が参加したという。警察は安全上の懸念から、デモ主催者に集会を早めに切り上げるよう要請した。

このデモは極右組織が昨年11月に開いた会合に「ドイツのための選択肢(AfD)」などの極右政党関係者が出席していたことを受け、開催された。

この会合ではドイツで市民権を得た移民を含む数百万人を強制送還する方法などが議論されたとみられる。

西部ケルン市内には7~8万人が集結。「過ちを繰り返すな」「AfDを政界から追放せよ」などと書かれた横断幕が掲げられた。

ドイツ通信社(dpa)によると、ベルリン市内で21日午後に行われた集会には少なくとも6万人が参加。警察は参加者を10万人と見積もっている。

ベルリンのデモに参加した男性はdpaの取材に対し、「世界大戦の悪夢を忘れるな」と語った。「極右を支持する人々はドイツがあの時どうなったか、学校でもう一回勉強しなおすべきです...」

ハンブルグ市内で20日に行われたデモには5万人が参加。警察は想定をはるかに上回る人が集まり、安全を確保できないとして、主催者に集会を切り上げるよう要請した。

フランクフルト、シュツットガルト、ニュルンベルク、ハノーバーでも20日に数万人規模の集会が開かれた。

ドイツでは過去にも極右政党に抗議する集会が開かれてきたが、dpaによると、この規模に発展したのは前代未聞だという。

AfDは2013年に発足した極右政党。過去の党首は過激な政策を掲げ、情報機関の監視対象になっている。

AfDの創設者はユーロ通貨に反対するためにこの組織を立ち上げ、2014~15年のシリア難民危機で移民に対する批判を利用して支持を集め、2017年に連邦議会に進出した。

最新の世論調査によると、AfDの支持率は2021年の連邦議会選時の10.3%から23%に急上昇。1位の最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)に肉薄している。

AfDの候補は昨夏、ナチス以来初めて、市長選と地区議会選で勝利を収めた。バイエルン州とヘッセン州の選挙でも議席を大きく伸ばし、今年9月に予定されているザクセン州、テューリンゲン州、ブランデンブルク州では第1党に躍進する可能性も取り沙汰されている。

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