欧州各地で抗議デモと暴動拡大、物価高・住宅難・公共サービスへの不満が噴出
専門家は、若者が社会制度への失望と将来を自分で制御できない感覚を強めていると指摘する。
-1.jpg)
欧州各地で生活費の高騰や住宅不足、教育・公共サービスの悪化に対する抗議活動が広がっている。フランス、イタリア、アルバニアではデモが警察との衝突や略奪、放火に発展し、スペインやポルトガルでは家賃高騰に抗議する野営活動が続いている。若年層を中心に、生活の先行きへの不安と政治への不信が強まっている。
フランスでは高校の人員不足や施設の老朽化、教育予算の不足を訴える高校生の抗議が3週間以上続き、労働組合や市民団体も参加して運動が拡大した。生活費の上昇や公共サービスの縮小への反発も加わり、17日のデモでは各地で暴力的な衝突が発生。パリやマルセイユなどで店舗の略奪が起き、中部リモージュでは19世紀に建てられた市庁舎が火災で大きな被害を受けた。警察は週末の混乱で約2400人を拘束し、多数の負傷者が出た。
スペインでは、教員らが賃上げや労働環境の改善を求めてストライキを実施した。住宅問題も深刻で、首都マドリード中心部の広場には高騰する家賃に抗議する人々がテントを設置している。スペインの最低賃金は月額1221ユーロ、80平方メートルの住宅の平均家賃は約1130ユーロとなっている。若年労働者にとって、家賃が収入の大部分を占める状況となっている。ポルトガルの首都リスボンやポルトでも、住宅費や低賃金への抗議が広がった。
イタリアでは数千人がデモに参加し、雇用、医療、教育、住宅、賃金の改善を要求した。9月のインフレ率は4.2%となり、ユーロ圏全体の3.8%を上回った。ミラノ、トリノ、ボローニャでは一部の参加者が警察と衝突し、店舗の略奪や放火が発生。ミラノでは271人が逮捕され、治安要員14人が負傷した。
アルバニアの首都ティラナでは汚職撲滅や医療・教育・年金制度の保護を求める反政府運動が拡大し、高校生や大学生も参加した。ラマ(Edi Rama)首相は抗議者を極左過激派と批判している。一方、セルビアでも若者主導の反汚職運動が続き、政治への不満が高まっている。
専門家は、若者が社会制度への失望と将来を自分で制御できない感覚を強めていると指摘する。欧州各国では選挙を控え、右派勢力が移民問題と結び付けて抗議の混乱を政治的に利用する動きもある。生活水準の低下をめぐる不満が、各国の政治情勢を左右する課題となっている。
