◎ヴァレリー・ペクレス氏は2007年のフランソワ・フィヨン政権で初入閣を果たし、財務相などを歴任した。現在はイル=ド=フランス地域圏の知事を務めている。
2022年2月13日/フランス、パリのアリーナ、共和党のヴァレリー・ペクレス氏(中央右)(Francois Mori/AP通信)

2月13日、フランス初の女性大統領を目指す共和党のヴァレリー・ペクレス氏が初の大規模集会を開催し、保守層に支持を呼びかけた。

2022仏大統領選挙は4月10日に行われる予定。第1ラウンドで過半数を獲得する候補者が出なかった場合は4月24日の決選投票で勝者を決める。

公共放送フランスTVなどが行った最近の世論調査によると、ペクレス氏の支持率は共和党初の女性大統領候補という触れ込みにもかかわらず伸び悩んでいる。

ペクレス氏は2007年のフランソワ・フィヨン政権で初入閣を果たし、財務相などを歴任した。現在はイル=ド=フランス地域圏の知事を務めている。

フランスTVはペクレス氏の支持率が伸び悩んでいる理由について、オミクロン株の感染拡大を考慮し大規模な出陣式を開催していなかったためと分析している。

ペクレス氏の支持率は最有力候補のエマニュエル・マクロン大統領と前回の決選投票で敗れた極右のマリーヌ・ル・ペン党首に次ぐ3位で、当初の予想よりかなり低くなっている。なお、マクロン大統領はまだ正式に立候補を表明していない。立候補届の提出期限は3月4日。

ペクレス氏はパリのゼニス・アリーナに集まった支持者の前で、「私たちは勝つ!」と宣言した。「私は不屈のフランスを代表します。誰も私を止められない!」

またペクレス氏は他の極右候補と同じく、不法移民に対する厳しい姿勢を示し、マクロン大統領とル・ペン党首の公約を批判した。「二人は国民が求めていることを理解していません。不法入国者は今すぐ国外退去させるべきです...」

ル・ペン党首は反移民と反イスラム、最も危険な極右と呼ばれているエリック・ゼムール候補は反移民、反イスラム、反ゲイを公約に掲げている。

しかし、ペクレス氏は他の極右候補の支持者を取り込むために、さらに踏み込んだ移民阻止政策を発表し、聴衆を沸かせた。「EU27カ国の国境に壁を建設しなければなりません。いくつかの国はすでに行動を開始しています。私は壁建設を支持します。もし、関係国が不法移民の送還を拒否すれば、私はその国のビザをゼロにします!」

ポーランドとリトアニアは隣国ベラルーシから不法移民が増えていることを受け、国境警備を強化し、高強度フェンスの建設を進めている。ギリシャはトルコから押し寄せる難民(主にシリア人)を阻止するために壁を建設した。

ペクレス氏は年金の大幅な増額を約束し、相続税を削減し、弁護士を25,000人追加雇用すると公約し、週35時間労働制を廃止し、低中所得層を保護するために戦うとアピールした。

またペクレス氏は当選すればマクロン大統領の中道政治を大きく見直すと述べ、国内の政治的緊張と混乱を終息させ、フランス国民を団結できるのは共和党だけだと主張し、他の極右候補を支持しないよう呼びかけた。

マクロン大統領の支持率はオミクロン株の感染拡大後にやや下がったものの、EUの議長国としてウクライナ危機に積極的に介入し、隣国や米国との良好な関係を維持していることなどが評価され、盛り返している。

ポリティコ社の世論調査によると、マクロン大統領の支持率は2月10日時点で25%、ル・ペン党首は17%、ペクレス氏は15%、ゼムール氏は14%。マクロン政権の支持率は1月20日時点で59%、不支持率は39%。

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