29日、フランス、ニースのノートルダム大聖堂で民間人を狙ったテロ攻撃が発生した。
エマニュエル・マクロン大統領は、「イスラム教徒のテロ攻撃」で3人が死亡したと述べた。
ニースのクリスチャン・エストロジ市長は「ノートルダム大聖堂で発生した攻撃の容疑者を逮捕した市警に感謝する。警察と救急隊のために、当該地域への移動は避けてほしい」とツイートした。
AP通信によると、容疑者はナイフで被害者3人を襲った後に逮捕、拘束中に負傷し、近くの病院に移送されたという。当局は容疑者が「単独で行動していたものと思われる」とコメントした。
警察の情報筋によると、容疑者は9月にイタリアのランペドゥーサ島にボートで到着した21歳のチュニジア人男性。容疑者はコロナウイルスの検疫下に置かれ、イタリアから退去後、今月初めにフランスに到着した。
この日、テロ攻撃はノートルダムを含む3カ所で発生した。
1カ所はフランス南部アヴィニョン近くのモンファヴェ、拳銃で警察を脅迫した男が射殺されている。
さらに、サウジアラビア、ジェッダのフランス領事館の外で警備員が攻撃を受け負傷。容疑者は逮捕され、警備員は病院に運ばれた。
マクロン大統領はニースで記者団に対し次のように述べている。
エマニュエル・マクロン大統領：
「私たちは再び攻撃された。相手は私たちの価値観に理解を示さない」
「今日もハッキリ言う。私たちは何も明け渡さない」
マクロン大統領は全国に配備されている兵士の数を3,000人から7,000人に増やすと述べた。
当局は攻撃の動機を調査中。
ニースのエストロジ市長は、今月初めに発生した学校でのテロ攻撃とこの日の事件を比較した。
預言者ムハンマドを描いた風刺漫画とそれを擁護するマクロン大統領に対するイスラム教徒の抗議は中東全域に広がり、イスラム過激派の攻撃につながった。
犠牲者は3人、いずれもナイフで攻撃された
テロ攻撃はノートルダム大聖堂内で発生した。
報告によると、2人が教会内で死亡。70歳代の女性と40～50歳代の男性（教会スタッフ）が首を切られたという。
30～40歳代の女性は攻撃後に近くのカフェに逃げ込んだが、その後死亡した。
各国の反応
フランスイスラム評議会は攻撃を非難し、犠牲者とその家族との連帯を示した。
マクロン大統領との関係悪化が懸念されるトルコのタイイップ・エルドアン大統領は、「野蛮な攻撃」を強く非難した。
バチカンの報道官、マッテオ・ブルーニ氏は事件について、「愛と慰めの場所に死をもたらした」と声明を発表。
ロシアのウラジミール・プーチン大統領はマクロン大統領に電報を送り、一連のテロ攻撃と悲劇的な結果に深い哀悼の意を表した。
ウラジミール・プーチン大統領（電報）：
「テロリストは人間の道徳を絶対に欠いていることが分かった。国際テロと戦うためには、グローバルコミュニティの力を合わせる必要がある」
プーチン大統領は、テロ対策活動のあらゆる分野でフランスや他の国際パートナーと緊密に協力する準備ができていると述べた。
フランスで発生したテロ攻撃のタイムライン
2020年10月：
教師のサミュエル・パティ氏がイスラム教徒に殺害される。
2020年9月：
2015年にイスラム過激派がテロを起こしたシャルリー・エブド（パリ）の旧事務所近くで2人が刺され、重傷を負う。
2019年10月：
警察のコンピューターオペレータ、ミキャエル・ハーポンが、パリの警察本部で警官3人と民間人1人を刺殺。犯行後、射殺された。
2016年7月：
容疑者2人が北部ルーアン郊外の教会を襲撃。ジャック・アメル司祭を殺害し、人質に重傷を負わせた。
2016年7月：
ニースでイスラム国（IS）の犯行と主張する攻撃が発生。バスティーユ・デイを祝う群衆に大型トラックが突入し、86人が死亡した。
2015年11月：
複数の自爆テロ犯がパリのバタクランコンサートホールに攻撃を仕掛け、130人が死亡、数百人が負傷した。
2015年1月：
2人のイスラム過激派武装勢力がシャルリー・エブドの事務所に押し入り、12人を射殺。
