◎フランスのディーゼル燃料の全国平均価格は1リットルあたり1.56ユーロ(約206円)、ガソリンは1.62ユーロ(約214円)まで上昇した
2021年10月20日/フランス、パリ郊外のガソリンスタンド(Getty Images/AFP通信)

10月22日、フランス政府は化石燃料価格の高騰を受け、月収2,000ユーロ(約26万円)以下の市民に100ユーロ(約13,000円)の支援金を支給すると発表した。

対象は民間の労働者、公務員、学生を含む約3,800万人と推定されている。この中には約1,300万人の年金受給者も含まれる。

AFP通信によると、最初に支払いを受けるのは民間の労働者で、支給は12月下旬頃から始まる予定だという。その他の対象者への支給は2022年初頭までに終了すると伝えられている。

ジャン・カスティックス首相は22日の声明で、「支援金の予算38億ユーロ(約5,000億円)は燃料税の削減にかかるコストよりはるかに少なく現実的」と述べた。

石炭やLNGの価格高騰がもたらした世界規模のエネルギー危機はヨーロッパの広い範囲に影響を与え、各国はガソリン価格や電気料金の値上げに直面している。

世界の経済はコロナ禍から急速に立ち直りつつあり、主要企業はガソリン、トイレットペーパー、おもちゃ、衣類、小麦、その他のありとあらゆる物資を買い求め、人々の需要に対応しようとしたが、生産者とサプライチェーンは需要の激増に対応できなかった。

エマニュエル・マクロン大統領は来年4月に予定されている大統領選挙をにらみ、支援金の支給を決断したと思われる。2018年の燃料税をめぐる黄色いベスト運動は大規模な反政府デモに発展した。

カスティックス首相は声明の中で、世界の燃料価格はゆっくり下落すると想定されているため、ガソリンや都市ガスの価格は2022年末まで現在の水準を維持する可能性が高いと述べた。

運送業界はディーゼル燃料の高騰に悲鳴を上げ、自家用車で通勤している労働者は頭を抱えた。AFP通信の取材に応じたパリ在住の男性は、「ガソリン価格の高騰は田舎で生活している人々に深刻な影響を与える」と述べた。

フランス国内の燃料価格を調査している団体によると、ディーゼル燃料の全国平均価格は1リットルあたり1.56ユーロ(約206円)、ガソリンは1.62ユーロ(約214円)まで上昇したという。

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