EU、ハンガリー向け資金164億ユーロの凍結解除、新政権の改革を評価
資金凍結はオルバン前首相時代の「法の支配」の後退が理由だった。
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欧州連合(EU)は29日、ハンガリー向けの資金約164億ユーロ(約3兆円)に対する凍結措置を解除すると発表した。背景には今月就任したマジャル(Péter Magyar)首相による急速な政治改革がある。長年対立関係にあったEUとハンガリーの関係改善を象徴する動きとして注目されている。
資金凍結はオルバン(Viktor Orbán)前首相時代の「法の支配」の後退が理由だった。EUは司法の独立性の低下や汚職問題、報道機関への圧力などを問題視し、新型コロナ復興基金や地域格差是正のための補助金支給を停止していた。オルバン氏はロシア寄りの姿勢でも知られ、EUとの摩擦を繰り返してきた。
4月の総選挙では中道右派の新興政党「TISZA(尊敬と自由)」を率いるマジャル氏が圧勝し、議会で憲法改正が可能な3分の2超の議席を獲得した。マジャル政権は発足直後から改革を矢継ぎ早に進め、司法制度の独立強化、汚職対策機関の権限拡大、公共調達の透明化などを実施した。さらに、EUの検察機関「欧州検察庁」への加盟申請も表明し、腐敗防止への姿勢を鮮明にした。
EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は記者会見で、「ハンガリーでは変化の風が力強く吹いている」と述べ、新政権の改革努力を高く評価した。また、凍結解除によってハンガリーはEUの教育交流制度「エラスムス・プラス」にも再参加できる見通しとなった。
解除される資金のうち、100億ユーロは新型コロナ復興基金、63億ユーロ超は地域支援基金で、低迷するハンガリー経済の再建に活用される予定だ。インフレや財政悪化に苦しんでいた同国では、資金流入への期待から通貨フォリントが上昇するなど、市場も好感している。
マジャル氏は記者会見で、「前政権はEU資金が停止された真の理由を国民に隠していた」とオルバン氏を批判し、「透明性と民主主義を回復することでEUとの信頼関係を取り戻す」と強調した。
もっとも、EU側は依然として一部資金について条件を残している。学問の自由や少数者保護に関する改革が不十分だとして、約27億ユーロ分は引き続き凍結される見通しだ。EUは今後も改革の進展状況を慎重に監視するとしている。
