◎EUは天然ガスの40%近くと原油の4分の1をロシアに依存している。
2022年3月24日/ブリュッセルのNATO本部、サミット後の写真撮影(Thibault Camus/AP通信)

EUはウクライナ侵攻をめぐるロシアに対する前例のない経済制裁を通じて、滅多に見られない結束感を保っている。しかし、27カ国の首脳は24日、最大の課題であるエネルギー問題で見事に分裂した。

開戦から1カ月、EU加盟国はロシアの経済、金融システム、プーチン大統領やオリガルヒなどをターゲットとする厳しい制裁を科した。

しかし、EUはロシアの化石燃料に恩赦を与え、家庭を暖かく保ち、産業の歯車を回すためにはロシアの原油、天然ガス、石炭が必要であると認めた。

ベルギーのデクロー首相はサミット前の会見で、「我々の相手はロシアであり、我々ではない」と語った。「制裁は常に、EUよりもロシアに大きな影響を与えるものでなければなりません...」

デクロー首相のコメントは、ドイツ、オーストリア、オランダなどの立場を反映していた。しかし、ロシアに近い位置にある他の加盟国はより厳しい制裁を望んでいる。

フィンランドのマリン首相は、「ロシアからエネルギーを購入している限り、我々は戦争に資金を提供していることになる」と述べた。

マリン首相は危機の最前線にいるバルト三国の指導者と共に、迅速な行動を要求した。

ラトビアのカリンシュ首相は、「プーチンの経済、つまりロシアの経済を孤立させ、戦争マシーンへの資金流入を止めなければならない」と語った。「分かりますね。石油と石炭です」

EUは発電、暖房、産業用に使われる天然ガスの90%を輸入しており、ガスの40%近くと原油の4分の1をロシアに依存している。

EUの執行機関である欧州委員会は禁輸の代わりに、EUのロシア産天然ガスへの依存度を今年中に3分の2に削減することを提案している。また、液化天然ガスを確保するために米国と交渉中であり、他の供給者とも協議を開始している。

ロシア外務省のザハロワ報道官は24日、「エネルギーに関してロシアと協力したくない欧州諸国は、誰がどのように自分たちの繁栄を破壊しているのか、国民に伝えなさい」と述べた。「我々は自国のエネルギー安全保障を確保することに関心のある国々と協力します...」

欧州のエネルギー価格はコロナウイルスの封鎖解除と世界経済が本格的に動き始めたことで急騰し、電気代とガソリン代を押し上げ、今回の戦争で状況はさらに悪化した。

欧州委員会によると、EUの昨年の対ロシア貿易輸入額は1,585億ユーロ(21.3兆円)で、そのうち鉱物性燃料が62%、989億ユーロ(13.3兆円)を占めていた。

ラトビアのカリンシュ首相は、「モラルはお金に勝るべき」と語った。また首相によると、ラトビアはロシアの原油とガスに依存しているものの、国内企業は禁輸を支持しているという。「プーチンを止めるためには制裁が必要なんです。金よりモラルです。生きていれば再稼働できます」

グリーンピースのEU責任者は24日、AP通信のインタビューの中で、「EUはロシアのエネルギーを購入し続けることで、ロシア軍を支援している」と非難した。「化石燃料は紛争や戦争と結びついてきた歴史があります。化石燃料がどこから来るにせよ、政府は新しい供給元を探すのではなく、できるだけ早く禁輸に踏み切り、化石燃料から卒業しなさい」

しかし、オランダのルッテ首相は、EUはロシアに対するエネルギー制裁の問題でまだ分裂しており、首脳サミットでこの問題についての合意を得ることはできないと示唆した。

ルッテ首相は記者団に対し、「我々は制裁について議論するが、合意はないと思う」と語った。「現在ロシアに科している制裁は、私の政治人生の中で最も厳しい措置です...」

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