◎ロシア軍はミサイルとイラン製自爆ドローンでウクライナの送電鉄塔や発電所に攻撃を仕掛けている。
2022年10月22日/ウクライナ、東部ドネツク州の前線付近、ウクライナ軍(LIBKOS)

ウクライナの送電大手ウクルエネルゴは5日、ロシア軍がエネルギーインフラを攻撃し、首都キーウを含む7地域で停電が発生したと発表した。

ロシア軍はミサイルとイラン製自爆ドローンでウクライナの送電鉄塔や発電所に攻撃を仕掛けている。

ウクルエネルゴはウェブサイトの声明で、キーウとその周辺地域で計画停電を行うと発表した。しかし、同社はその後、計画停電では問題に対処できないと声明を訂正し、停電復旧時期を未定とした。

ウクライナは先月から電力と水の確保に悩まされている。ロシア軍はロシアとウクライナ南部クリミア半島を結ぶクリミア橋が爆破されたことを受け、ウクライナ全土への攻撃を本格化させた。

一方、ロシアに自爆ドローンを供与したと疑われているイランは5日、それが事実であることを認めたうえで、ウクライナ侵攻が始める数カ月前にドローンを数台供与したと主張した。

米国の諜報機関は開戦後に数百台が供与されたと信じるに足る証拠が見つかったと報告している。

しかし、イラン外務省は米国の告発を却下し、侵攻の数カ月前に供与した自国製のドローンが戦闘に使われたかどうかは分からないと主張した。

その後、ウクライナ外務省とゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は声明を発表。イランを厳しく非難した。

同省の報道官はフェイスブックに、「イランは共謀で小さな利益を上げ、より多くを失うことになる」と投稿している。

ゼレンスキー大統領も同様の見解を示し、「イラン政府はロシア軍のテロに協力している」と非難した。

米国は2018年のイラン核合意撤退に合わせてイランに禁輸制裁を科しており、ロシアへのドローン供与は制裁違反である。

しかし、イラン政府は米国の告発を「滑稽」と笑い飛ばした。

ウクライナ公共放送によると、ロシア軍は全国各地を砲撃したという。ウクライナ大統領府は直近24時間のロシア軍による攻撃で、民間人少なくとも3人が死亡、8人が負傷したと報告している。

東部ドニエプロペトロフスク州のレズニチェンコ(Valentyn Reznichenko)知事は5日、テレグラムの投稿で、「少なくとも砲弾40発が市中心部に撃ち込まれた」と報告した。死傷者には言及していない。

レズニチェンコ氏によると、火災が2件報告され、住宅、公共施設、ガスパイプラインが被害を受けたという。

レズニチェンコ氏は「ウクライナ軍は別の地域でイランのドローンとみられる物体などを撃墜した」と報告している。

南部ミコライウ州では郊外の集落が夜間に砲撃を受けたものの、死傷者は出なかったという。

ロシア軍は南部ザポリージャ州へもミサイルを撃ち込んだとみられる。同州のウクライナ当局は5日の午前0時過ぎに爆発を確認し、企業3社の建物と多くの駐車車両が破壊されたと報告した。

東部ドネツク州のウクライナ当局もバフムートなどの前線に近い8つの都市と村がロシア軍の砲撃を受けたと報告している。

ロシアの国営メディアは、ドネツク州の一部地域を支配するドネツク人民共和国でロシアに任命された判事が銃撃され、重傷を負ったと報じた。

一方、国際原子力機関(IAEA)は5日、南部ザポリージャ原発への電力供給が再開されたと報告した。同原発は2日前に外部の送電線がロシア軍の攻撃で損傷し、ディーゼル発電に切り替えていた。

IAEAのグロッシ(Rafael Grossi)事務局長は同原発の外部電源が復旧したことを歓迎し、ロシアとウクライナに原発とその周辺地域を非武装地帯にするよう改めて要請した。

IAEAは今週、ウクライナ国内の核施設3カ所を査察し、未申告の核活動の兆候は見られないと報告した。ロシアはウクライナが放射性物質を拡散するダーティーボム(RDD)の準備を進めていると主張している。

2022年10月31日/ウクライナ、首都キーウ(Andrew Kravchenko/AP通信)
スポンサーリンク