◎ベラルーシでは現在、2022年にノーベル平和賞を受賞した人権活動家ビアリアツキー氏を含む約1400人の政治犯が獄中にいる。
ベラルーシのルカシェンコ大統領(ロイター通信)

国連人権理事会は6日、ベラルーシ当局に対し、政治犯の拷問と死亡について調査するよう要請した。

同理事会のベラルーシ特別代表がまとめた報告書によると、同国の刑務所に収監されていた政治犯少なくとも5人が拷問を受け、獄中死したという。

特別代表は亡くなった5人全員が検死を受けておらず、刑務所内で何が起きたかも分からず、当局が事件を隠蔽しようとしていると非難した。

また特別代表は「政治犯への拷問や嫌がらせが常態化しており、死に至らしめたとしても、誰一人責任を取らず、どこ吹く風である」と述べた。

特別代表はベラルーシに対し、刑務所内で起きた全ての死亡事案を迅速、公平かつ透明性を担保して調査するよう求めた。

プーチン(Vladimir Putin)露大統領の子分である独裁者のルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は2020大統領選後の抗議デモを力でねじ伏せ、野党指導者を含む多くの反体制派を一蹴した。

この弾圧で3万5000人以上が逮捕され、数千人が拘留中に暴行を受け、数百の独立系メディア、NGO、人権団体が閉鎖に追い込まれた。

ベラルーシ特別代表は野党政治家、弁護士、活動家など、現在収監中で、1年以上所在不明になっている数人を特に懸念していると述べた。

人権団体「ビアスナ人権センター」によると、ベラルーシでは現在、2022年にノーベル平和賞を受賞した人権活動家ビアリアツキー(Ales Bialiatski)氏を含む約1400人の政治犯が獄中にいる。

ベラルーシ特別代表は国内の刑務所の環境も厳しく非難。「政治犯を含む受刑者たちは拷問や嫌がらせを受けたり、品位を傷つけるような扱いに直面している 」と述べた。

それによると、政治犯は特別視されており、黄色いマークをつけさせられ、狭い独房に入れられ、外部との接触を禁じられているという。

ベラルーシ特別代表は同国の人権状況について、「極めて憂慮すべきであり、監視を強化する必要がある」と結論付けている。

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