欧州首脳、NATOにおける役割拡大の必要性を強調、在独米軍削減計画
今回の米軍削減方針は欧州が「自らを守る主体」へと転換する必要性を改めて突きつけるものとなった。
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トランプ(Donald Trump)米大統領がドイツの駐留米軍の一部撤収を発表したことを受け、欧州各国の間で北大西洋条約機構(NATO)における自立的な役割拡大の必要性が強く意識されている。
発端となったのは、米国防総省が5000人規模の在独米軍を削減する方針を示したことである。さらにトランプ氏は、将来的により大幅な削減に踏み込む可能性にも言及しており、長年欧州防衛の中核を担ってきた米軍の存在が転機を迎えつつある。
この決定はアルメニアの首都エレバンで4日に開かれた欧州政治共同体(EPC)の首脳会合の場でも議題となった。各国首脳は突然の発表に驚きを示しつつも、欧州自身が安全保障の責任をより多く担う必要性を認める姿勢を示した。
スターマー(Keir Starmer)英首相はNATOにおける「より強い欧州の役割」が不可欠だと述べ、ノルウェーのガール・ストーレ(Jonas Gahr Store)首相も同様に欧州の関与拡大に言及した。
背景には米欧間の政治的緊張がある。特にイラン情勢をめぐり、欧州諸国が米国の軍事行動への関与に慎重姿勢を示していることに対し、トランプ政権が不満を強めている。また、メルツ(Friedrich Merz)独首相による米国批判も関係悪化の一因となっている。
一方で、NATOの結束そのものが直ちに揺らぐとの見方は限定的である。ドイツ政府は米軍削減が同盟の抑止力を直ちに損なうものではないとしつつも、欧州の防衛力強化を加速させる契機になるとの認識を示した。実際にドイツは国防費の大幅増額や兵力拡充を進めており、欧州全体でも防衛投資の拡大が進んでいる。
また、NATOのルッテ(Mark Rutte)事務総長も、今回の動きは欧州に対する米国の不満を反映したものであり、同時に欧州側がそのメッセージを受け止めつつあると指摘する。各国は基地提供や後方支援などで米国への協力を続けているが、今後はより主体的な軍事能力の整備が求められるとみられる。
冷戦後、欧州の安全保障は米軍の存在に大きく依存してきた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化など、複合的な安全保障環境の変化の中で、その前提が揺らぎつつある。今回の米軍削減方針は欧州が「自らを守る主体」へと転換する必要性を改めて突きつけるものとなった。
今後、NATOの枠組みを維持しつつ、欧州がどこまで防衛能力を高め、米国との役割分担を再構築できるかが、同盟の将来を左右する重要な焦点となる
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