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米デルタ航空が「機内サービス」を見直し、知っておくべきこと

米国の航空業界で、短距離便での機内サービス縮小は珍しくない。
米デルタ航空の客室乗務員(Getty Images)

航空大手のデルタ航空(Delta Air Lines)が5日、機内サービスの見直しとして、スナックや飲料の提供方法を変更する方針を明らかにした。対象となるのは主に短距離路線で、同社はサービスの「一貫性向上」を理由に挙げている。

発表によると、飛行距離が350マイル(約560キロ)未満の便では、原則としてスナックや飲料の提供を廃止する。これまで短距離便でも簡易的なサービスが行われていたが、今後はエコノミークラスやコンフォートプラス利用者には提供されなくなる。一方で、ファーストクラス(Delta First)では従来通りフルサービスが維持される。

この変更は2026年5月19日から実施される予定で、1日あたり約450便に影響するとされる。全体の運航便数に占める割合は1割未満にとどまるが、利用者の多い短距離路線が含まれるため、乗客への影響は小さくないとみられる。

一方、350マイル以上の便ではサービス内容が強化される。これまで一部で制限されていた飲料や軽食の提供が、メインキャビンおよびコンフォートクラスでも全面的に実施されるようになる。距離に応じたサービス区分を簡素化し、全体として統一的な提供体制に移行する狙いがある。

同社は声明で、サービスがなくなる便でも客室乗務員は従来通り乗客対応にあたると強調している。また今回の措置について、燃料費の高騰などコスト環境の変化も背景にあるとした。

米国の航空業界で、短距離便での機内サービス縮小は珍しくない。ユナイテッド航空(United Airlines)は300マイル未満、アメリカン航空(American Airlines)も250マイル未満の便で軽食提供を制限しており、デルタの今回の措置もこうした流れに沿うものといえる。

ただし、デルタは従来「プレミアム路線」を掲げ、機内サービスの質の高さを強みとしてきた経緯がある。そのため、今回の変更については利用者から不満の声も出ている。短距離とはいえ無料サービスの廃止は実質的なサービス低下と受け止められやすく、価格とのバランスを疑問視する意見もみられる。

同社は2015年以降、250マイル未満の便でサービスを廃止するなど段階的に見直しを進めてきたが、今回の変更で対象範囲がさらに拡大する形となる。結果として、短距離便では飲食提供がほぼ行われない一方、中距離以上ではサービスが充実するという二層構造が明確になる。

航空需要が回復する一方で、中東情勢の悪化により燃料費や運航コストの上昇が続く中、航空各社はサービスと収益のバランスを再構築している。デルタの今回の決定はその象徴的な動きの一つといえ、今後ほかの航空会社にも同様の見直しが広がる可能性がある。

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