国連事務総長「パレスチナ支援、崩壊寸前」加盟国に資金拠出呼びかけ
UNRWAは1949年に設立され、ガザ地区やヨルダン川西岸、ヨルダン、レバノン、シリアで暮らす約260万人のパレスチナ難民に対し、教育、医療、食料配給、避難所の運営など幅広い人道支援を提供している。
.jpg)
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は6月30日、パレスチナ難民を支援するUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)が深刻な資金不足により「崩壊寸前」の状況にあるとして、加盟国に対し緊急の資金拠出を呼び掛けた。国連総会で開かれた任意拠出に関する会合で演説したグテレス氏は、約1億ドルの資金不足を解消できなければ、数百万人のパレスチナ難民に対する支援活動が維持できなくなるとして、強い危機感を示した。
UNRWAは1949年に設立され、ガザ地区やヨルダン川西岸、ヨルダン、レバノン、シリアで暮らす約260万人のパレスチナ難民に対し、教育、医療、食料配給、避難所の運営など幅広い人道支援を提供している。しかし、ガザ情勢の悪化に伴う支援需要の急増に加え、慢性的な資金不足が続いており、現在はサービスの縮小や人件費の削減、海外職員の欠員補充見送りなど厳しい緊縮策を余儀なくされている。2025年に必要とされた約33億ドルの資金のうち、確保できたのは約27%にとどまったという。
資金難の背景には、2023年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃した際、一部のUNRWA職員が関与したとのイスラエル側の主張がある。この疑惑を受け、米国やスウェーデンなど主要な支援国が一時的に資金拠出を停止したため、UNRWAの財政基盤は大きく揺らいだ。その後、多くの国は調査結果や組織改革を踏まえて支援を再開したが、依然として十分な資金は集まっておらず、財政状況は改善していない。国連は関与が疑われた職員を解雇するとともに、組織運営の透明性向上や監督体制の強化を進めている。
グテレス氏は演説の中で、UNRWAが誤情報や政治的圧力によって組織的に弱体化させられていると懸念を表明した。また、ガザ地区ではこれまでに390人のUNRWA職員が命を落とし、危険な環境下でも支援活動を継続していると指摘した。その上で、「UNRWAが機能しなくなれば、数百万人の難民が教育や医療などの基本的なサービスを失うことになる」と警告し、加盟国に対し早急な追加支援を訴えた。
イスラエルとハマスの対立が長期化する中、ガザ地区では深刻な人道危機が続いている。国連はUNRWAがパレスチナ難民支援の中核を担う唯一の機関であり、その活動が停止すれば地域の人道状況はさらに悪化する恐れがあるとしている。資金不足を解消し、支援体制を維持できるかどうかは、国際社会の迅速な対応にかかっている。
