ロシア、シリア西部の軍事拠点2カ所を返還へ、関係は維持
フメイミム空軍基地とタルトゥース海軍基地はシリア内戦で、ロシアが中東における軍事活動を展開する上で重要な拠点であった。
とシリアのアサド大統領(Kremlin/TASS).jpg)
シリアとロシアは、シリア西部の地中海沿岸にあるロシア軍の主要拠点について、新たな取り決めで合意した。シリア外務省が9日、明らかにした。これにより、ロシア軍はラタキア近郊のフメイミム空軍基地と、タルトゥース港の商業埠頭に対する管理権をシリア側に返す。一方、両施設の軍事関連部分は今後もロシアとシリアが共同で使用する訓練センターとなる。
フメイミム空軍基地とタルトゥース海軍基地はシリア内戦で、ロシアが中東における軍事活動を展開する上で重要な拠点であった。ロシアは当時のアサド政権を主要な政治・軍事同盟国として支援し、2015年には軍事介入に踏み切った。ロシア軍の支援によってアサド政権は反政府勢力から支配地域を奪還し、ロシアにとって両基地は東地中海における戦略的な足場となった。
しかし、2024年12月に反政府勢力がアサド政権を打倒すると情勢は大きく変化した。アサドはロシアに亡命し、ロシア軍も両基地に残る部隊を除いてシリアから段階的に撤退した。ロシアは暫定政権発足後もシリアとの関係維持を目指してきた。シャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領は就任後、モスクワを2度訪問している。両基地の扱いは両国間の交渉における主要議題だった。
シリア外務省は今回の合意を沿岸部におけるロシア軍の存在を「再編」するものと説明し、1年半にわたる交渉開始以来、最も重要な進展と位置付けた。ロシア側は合意についてコメントしていない。
今回の合意はアサド政権時代にロシアが持っていたシリアでの軍事的影響力が縮小する一方、暫定政権がモスクワとの関係を完全に断つのではなく、合同訓練などを通じて一定の軍事協力を維持する姿勢を示したものといえる。
シリアは現在、米国や欧州、周辺アラブ諸国との関係改善も進めており、今回の基地再編はシリアが外交・安全保障政策を多方面に広げる転換点となる可能性がある。
