◎ウクライナ政府はここ数週間、ロシア軍がイラン製のカミカゼドローンを使って各地のエネルギーインフラを攻撃したと非難している。
ロシアのプーチン大統領とイランのライシ大統領(Alexandr Demyanchuk/Sputnik/AFP通信)

ロシア大統領府は12日、プーチン(Vladimir Putin)大統領がイランのライシ(Ebrahim Raisi)大統領と電話会談を行い、両国の政治、貿易、経済協力の深化について協議したと発表した。

イラン大統領府も同日、同様の声明を発表した。

ロシア大統領府によると、両首脳は輸送・物流分野を含む政治、貿易、経済分野での協力に焦点を当て、安全保障問題にも触れたという。

同府は、「両首脳は関係機関の連絡体制を強化することで合意した」としている。

イラン大統領府によると、ライシ氏はロシアとの経済関係強化を希望し、ユーラシア地域における貿易ルートの整備を歓迎したという。

ライシ氏は声明で、「この貿易ルートは世界で最も魅力的なルートのひとつになるだろう」と主張した。

プーチン氏はイラン南部のシーア派宗教施設が攻撃を受け少なくとも15人が死亡、40人が負傷した事件に同情を示し、政府と国民に哀悼の意を表した。

またプーチン氏は「いかなる形のテロも容認せず、非難する」とした。

一方、ウクライナ大統領府は同日、南部ヘルソン市から撤退したロシア軍がドニエプル川東岸に防衛線を構築していると報告。さらに、ロシア軍が撤退に合わせて市内のあらゆるエネルギーインフラを破壊したと明らかにした。

ウクライナ政府はここ数週間、ロシア軍がイラン製のカミカゼドローンを使って各地のエネルギーインフラを攻撃したと非難している。

イランは先週、ウクライナ侵攻が始まる数カ月前に、ロシアにドローンを数機売却したと主張した。

イラン指導部はロシアとの防衛関係に言及しつつも、ウクライナ侵攻を理由にロシアに兵器を供与したことはないと繰り返し主張している。

しかし、米国とEUはこの主張を払いのけ、イランの政府関係者や企業に制裁を科した。

さらにEUは首都テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが殴り殺された事件の抗議デモに対する弾圧を糾弾し、さらなる制裁を準備している。

イラン指導部はアミニさんの死を「不幸な事故」と呼び、米国とイスラエルがデモを煽り、イランの主権を侵害しようとしていると主張している。

プーチン氏はヘルソンの敗北で批判に直面している。多くのロシア人ブロガーがヘルソン撤退を「恥」と非難した。

ロシア軍は今週、ヘルソン市からの撤退を表明した。プーチン氏は9月にヘルソン州を含むウクライナ4州を「永遠に併合した」と主張したが、この敗北で赤っ恥をかかされた。

ロシア国防省はドニエプル川東岸に兵士3万人以上を撤退させたと主張している。しかし、ウクライナ当局は多くのロシア兵が撤退しきれず、川で溺れたり、軍服を捨ててヘルソン市内で民間人に紛れたりしていると報告した。

2022年11月12日/ウクライナ、南部オデーサ州、ヘルソン市奪還を祝う人々(Nina Lyashonok/AP通信)
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